写真は次に読む本である、大橋洋一著『社会とつながる行政法入門〔第2版〕』(有斐閣、1800円+税、2021年)です。その前に『中国ファクターの政治社会学』の読後感を少しばかり記しておきます。主に台湾側からの視点で大陸側からの「統一工作」をリポートした著作となっています。ひところは、大陸側から台湾への観光客がたいへん多かったのですが、そうした観光が経済効果についていえば、あまり効率のいいものではなかったことが理解できます。まず中国の観光客は国営系の旅行社が独占して団体ツアーしか催行されません。旅行代金のほとんどは大陸の旅行社に還流します。中国の観光客が立ち寄る台湾現地の宿泊ホテルや土産物店は中国資本か国民党支持経営者の施設に限られます。台湾現地のツアーコンダクターは旅行社からはタダ同然で請けて、なんとか旅程外の土産物店へ観光客を誘導してその店からのキックバックで稼いでいるということでした。統一工作は、ほかにも台湾企業の中国資本による買収が進んでいます。半導体関係やメディア関係への進出が警戒されています。武力誇示以前にさまざまな中国因素が台湾の政治・経済・社会へ浸透しているのをあまり日本では知られていないと思いました。とはいえ相互に依存している関係もあるわけで、大陸の影響力を一切排除するのも非現実的です。警戒しながらも利用できるところは利用して実を取るというのが台湾の考え方だと思います。
話は変わりますが、知らない間に浸透するものとしてさまざまなコンピューターソフトがあります。先日、当ホームページのコンテンツ管理システムが最新のバージョンに自動更新されたがために、ページのデザインかさまざまなプラグインソフトの一部が最新バージョンに未対応のためか、数日間ページが表示されない現象が発生しました。今は復旧していますが、インターネットの世界はそれこそもっと強力な統一工作に日々さらされているのだなと思いました。