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住民自治の視点

これから読む本は、川﨑政司著の『地方自治法基本解説 第8版』(法学書院、3500円+税2021年)。日頃、地元市の窓口と接する機会が多いのですが、国や県の施策を金科玉条のように考えて仕事をしている人が多いと感じています。この人の中には職員も住民も議員も自治会役員などのすべてが含まれます。国や県の施策もそれなりの手続きを経て決まったものですが、その地域の実情に照らした場合、必ずしもその目的達成に寄与しない点があります。そうした足らざるところをその自治体内だけでも手直しできることができるのですが、アイデアを出して動こうという気骨のある人はほとんど見かけません。在職中に一度も条例作りに携わった経験のない職員や議員がほとんどではないかと思います。住民から焚きつけてやることが必要です。なお、まさに主権者は住民ですから、ここでいう住民には国籍も関係ないことを言い添えておきます。

100分de名著

今月のNHK Eテレ番組「100分de名著」は斎藤幸平氏をナビゲーターに迎えた『資本論』です。今年1月のアンコール放送なのだそうですが、もともと同番組はいつも視聴しているわけではなく、扱われる作品と解説者に興味があるときだけなので、今月出合ったのはたまたまでした。まだ1回目と2回目しか見てませんが、資本主義の実相を分析した点については、その洞察力は現在にも十分通用しるもので、名著にふさわしいと改めて感じました。ブルシットな仕事を続けて精神を病んだり、極端な場合自死に追い込まれたりする現実を見ると、何のための成長なのかと思いますし、気候変動によって地球自体を自死に追いやる人間の暮らしは、どこか間違っている気がします。

リベラルという用語から

このところ続けて2冊、米国の学者の著書を読んでみて、二つのことを感じました。一つは、報道で接する断片的な見解にとらわれるのではなく、歴史的事実や当事者現場の情報などを踏まえた丁寧な検証による著書に接して、自分の立ち位置・意見を醸成する大切さです。もう一つは、日本で流通している言葉とそれが持つイメージをうのみにしないことで、世界共通認識を確認してから自分の立ち位置・意見を組み立てることの大切さです。たとえば、日本でのリベラルという用語は、世界共通認識からかけ離れている感じがします。資本主義や社会主義、共産主義という用語も実態に即して正しく使わないと、見方を誤ってしまうかもしれません。今度読む本は、ブランコ・ミラノヴィッチ著『資本主義だけ残った 世界を制するシステムの未来』(みすず書房、3600円+税、2021年)です。

人新世の国際協調

総選挙も終わったので、休止していた政治ネタ投稿を再開します。昨夜から読み始めたのは、G・ジョン・アイケンベリー著の『民主主義にとって安全な世界とは何か 国際主義と秩序の危機』(西村書店、3500円+税、2021年)。やや分厚い本なので読了までに日数がかかりそうです。新型コロナや気候変動への対応はまさに人類共通の課題です。異なる政治体制との対話と協調が必要になります。その蓄積は米国が豊かだと思います。現在の米国にあるかどうかは別にして、歴史から学ぶことは重要です。

浅はかなデジタル万能論はご免だ

ヴァージニア・ユーバンクス著の『格差の自動化』(人文書院、2800円+税、2021年)を読むと、それは米国におけるデジタル監視社会のありようを考察したものですが、米国と政治的に対立している中国でも同じような姿があるかもしれないし、なんとなくデジタル化を進めている日本でも警戒しなければいけない動きだと思いました。解説を寄せている堤未果氏の言葉を借りれば「浅はかなデジタル万能論と現実との乖離がもたらす危機への警鐘」の書ということになるかと思います。ハイテクツールを使って貧困者のデータベースを作り特定し処罰することにしかならないのであれば、塀が見えない監護施設に閉じ込めて捨て置くのと同じというわけです。日本国内でもコロナ禍でのさまざまな給付金のオンライン申請において理由が不明なまま支給が行われなかったり、電話がつながっても担当者が申請書類の中身に全然通じていなかったりしたという例をずいぶん見聞しましたが、おそらくそれに似たデジタルシステムが米国でも流通しているように感じました。今度のデジタル庁の面々も本当に国民のためになるツールとは何なのかを考えられる能力をもった人材で構成されているのか、見極めないとやってる感だけの浪費官庁に成り下がる可能性があります。

親ガチャと格差の自動化

今年から目にするようになった用語に「親ガチャ」なるものがあります。子どもの貧困が、子どもが選べない親の経済力などの資質に起因することを受けて、自分の親の当たりはずれを揶揄する表現としてあるようです。確かにさまざまな先行研究で親の学歴や蔵書数の違いが子どもの学歴の高さと比例する関係にはあります。結論から言えば、どのような親の子どもとして生まれてきても教育や福祉の機会が受けられる社会創造に政治(立法と行政)の役割があり、その実現に向けて子どもの有無にかかわらず大人が行動する責任があります。表紙の写真は次に読む本で、サブタイトルには、「デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか」とあります。米国の警察モノのTVドラマでは、犯罪発生後に市民の個人情報が捜査当局にいとも簡単に把握され、容疑者や証人の確保に役立つシーンがしばしば登場します。その点では、米国と対立する権威主義国家と同様以上の管理社会の姿が見えてきます。所得の再分配に寄与するデジタル化なら理解できますが、支配を容易にすることだけなら考えものです。

国民審査も重要

10月31日に投開票が予定されている総選挙では、同時に最高裁裁判官の国民審査も行われます。今回は4年ぶりとあって対象となる判事が11人と多くなっています。本来であれば前回までに審査されてない判事がもう1人いましたが、すでに定年退官をしていて対象になりませんでした。審査は10年に1回対象となるのですが、判事に就くのが60歳代以上のケースがほとんどで、満70歳が定年なので1回しかありません。したがって、解散の間隔が長いと一度も審査対象にならないケースが生まれるというわけです。司法判断が時代環境に合っているかいう意味では、審査の間隔はもっと短くして同一判事について複数回審査の機会があっても良さそうに思えます。ところで、国民審査は平成29年以降、総選挙の期日前投票初日から行われます。それ以前は審査用紙への裁判官名の印刷が間に合わないということで、4日遅れで期日前投票所において開始されていました。そのため、早めに投票した人は、国民審査を棄権する人がほとんどでした。まれに、国民審査だけ後日投票する人がいましたが、この際に間違って総選挙の投票用紙も渡してしまう投票所のミスもありました。現行の総選挙でも期日前投票時に判断がつかないとして審査用紙を返せば、後日投票することは可能です。つまり、棄権の確定は投票日をすぎないとできないというわけです。ともかく、立法の動きを進めるためにも、国民審査で国民の意志を示すことは重要です。×をつけないまま審査用紙を投函すれば信任となり、罷免の割合を低くします。判断がつかなければ用紙を投函しないことで、棄権となり罷免の割合に影響を与えません。写真は投稿記事とは関係ありません。新しい消防署の建設風景です。

グリーン水素

西宮伸幸著『水素社会入門』(KAWADE夢新書、890円+税、2021年)は、水素エネルギー開発の見取り図を理解するうえで、簡便な手引書として重宝しました。著者自身は1974年大学を卒業し、当時の通商産業省工業技術院へ進み、日本の新エネルギー技術研究開発(サンシャイン計画)の4本柱の一つとして水素の研究(具体的には金属を水素の入れ物として利用する水素吸蔵合金)を始めたそうです。通商産業省は現在の経済産業省であり、工業技術院は後の国立研究開発法人産業技術総合研究所です。この頃は水俣病第一次訴訟の熊本地裁判決が出て、世の中が公害に目を向け始めていました。水俣病の原因企業への追及に後ろ向きだった過去を持つ通産省が、太陽光や地熱と並んで水素エネルギーに関心を寄せていたのは意外な感じも受けます。ちなみに著者が工業技術院を退官してからの1986年から1989年に院長を務めたのが池袋暴走事故を起こして実刑判決を受けた人です。
本書は、一般向けの書籍ですので、一次エネルギー、二次エネルギーの区別から説明してくれます。水素を一次エネルギーとして使うこともできますが、二次エネルギーとしての利用の方が将来性は高いことも理解できました。エネルギーという言葉からは燃やすことのイメージが強いですが、水素が優れているのは貯蔵したり運んだりすることに向いている点があります。
その水素の作り方もさまざまで、CO2を排出しなければグリーン水素となりますし、CO2を排出しても回収可能ならブルー水素となります。グリーンやブルーといった色が付いているわけではなく、概念です。それにしてもさまざまな方法があって驚くと同時に、こうした開発の現状を知ることはビジネスチャンスをつかむことになると思いました。水素パイプラインが数多くこれからできてくるかもしれませんし、OH原子を有する惑星でエネルギーや水の生産が始まるかもしれません。

遊休農地解消活動

地元の農業委員会では毎年各地区持ち回りで遊休農地解消活動を行っています。今年度は網田地区でジャガイモを植え付けています。今朝は芽かき作業に参加しました。写真は、間引く前の畝の様子です。両脇の耕起済みの区域には、イノシシかアナグマと思われる足跡がありましたが、緑肥となるクリムソンクローバ「くれない」(雪印種苗)を3kg播種しました。ジャガイモの収穫が先ですが、クローバーの鮮やかな花も見たいものです。

CO2回収あっての脱炭素社会

カーボンニュートラルあるいは脱炭素(最初は低炭素)という単語をよく目にするようになってきました。再生可能エネルギーとして水素(貯蔵・輸送のうえではアンモニア)への注目も高まってきています。それへの転換において二酸化炭素の排出を減らすことはもちろんですが、回収にも寄与するのかという視点が重要になってきています。写真の書籍でいろいろ考えてみたいと思います。

見方と向き合い方

このところ知中の研究者の見方に努めて接するようにしています。武力だけを見て武力にだけに頼った一面的な見方では向き合い方を誤ると考えるからです。中国(大陸)の中にあっては分からないこと、発言できないこと、拡散できないことがたくさんあり、無理やり台湾との統一を図るよりも、台湾の存在が生む大陸側にとっての実益もあったりして、ことはあまり単純ではないように思います。写真の本(橋爪大三郎・中田考『中国共産党帝国とウイグル』集英社新書、880円+税、2021年)で感じたのは、中国を知る専門家がまだまだ日本において少ないことでした。同様にイスラム世界についてもまだ知らないことが多く、日本だからこそ動ける場がもっとあるような気がします。

因素工作

写真は次に読む本である、大橋洋一著『社会とつながる行政法入門〔第2版〕』(有斐閣、1800円+税、2021年)です。その前に『中国ファクターの政治社会学』の読後感を少しばかり記しておきます。主に台湾側からの視点で大陸側からの「統一工作」をリポートした著作となっています。ひところは、大陸側から台湾への観光客がたいへん多かったのですが、そうした観光が経済効果についていえば、あまり効率のいいものではなかったことが理解できます。まず中国の観光客は国営系の旅行社が独占して団体ツアーしか催行されません。旅行代金のほとんどは大陸の旅行社に還流します。中国の観光客が立ち寄る台湾現地の宿泊ホテルや土産物店は中国資本か国民党支持経営者の施設に限られます。台湾現地のツアーコンダクターは旅行社からはタダ同然で請けて、なんとか旅程外の土産物店へ観光客を誘導してその店からのキックバックで稼いでいるということでした。統一工作は、ほかにも台湾企業の中国資本による買収が進んでいます。半導体関係やメディア関係への進出が警戒されています。武力誇示以前にさまざまな中国因素が台湾の政治・経済・社会へ浸透しているのをあまり日本では知られていないと思いました。とはいえ相互に依存している関係もあるわけで、大陸の影響力を一切排除するのも非現実的です。警戒しながらも利用できるところは利用して実を取るというのが台湾の考え方だと思います。

話は変わりますが、知らない間に浸透するものとしてさまざまなコンピューターソフトがあります。先日、当ホームページのコンテンツ管理システムが最新のバージョンに自動更新されたがために、ページのデザインかさまざまなプラグインソフトの一部が最新バージョンに未対応のためか、数日間ページが表示されない現象が発生しました。今は復旧していますが、インターネットの世界はそれこそもっと強力な統一工作に日々さらされているのだなと思いました。

著作権相談員名簿に登載されました

このたび、日本行政書士会連合会が作製した「令和 2 年度新規著作権相談員名簿」(2021年3月31日集約)に当職の氏名が登載されました。この名簿は、下記の関係団体へ提出され、著作権業務における行政書士の積極活用の申し入れにも使われています。
<提出先>
・文化庁
・公益社団法人 著作権情報センター
・一般財団法人 ソフトウェア情報センター

写真は記事と関係ありません。

校則は主権者教育の良き教材

本日の地元紙で、昨日の地元市議会でなされた一般質問の話題が取り上げられていました。それによると、中学校の校則でツーブロックのヘアスタイルが禁止されているそうです。答弁に立った中学校長上がりの教育長は「中学校が『華美』と判断したと考えられる」と理由を学校のせいにしたうえで、「生徒が主体的に話し合う機会をつくり、PTAなどへのアンケートも実施して、時代の変化に合わせた必要な見直しをしていく」と見直しの可能性をアピールしてみせました。このツーブロック髪型禁止をめぐっては、昨年3月の都議会でも議論(このときは都立高校の校則)があり、なぜ禁止するのか問われた教育長が「外見を理由に事件や事故に遭うケースがあるため」と発言し波紋を呼んだことがありました。どのような髪型にするかは、まさにその人の個性の主張であり、人権の一つだと思います。自衛隊や警察、消防といった汗をかきやすい現場に携わる人たちにもツーブロック髪型は多いように感じるのですが、それを見て「華美だ」とか「外見を理由に事件や事故に遭うケースがある」とは到底思えません。むしろ教職員が凛々しい若者の姿に一方的なやっかみを感じてこうしたバカげた校則を設けたのではないかと思います。どのような校則が本当に必要なのかまずは生徒自身に考えてもらうことが主権者教育になるかもしれません。
写真は記事とは関係ありません。

専門書の効用

写真は次に手にする本ですが、先日読了した『現代中国経済〔新版〕』には新たに知る情報が多くて日本があるいは世界が中国とどう向き合うべきかを考えるうえでたいへん役立ちました。とにかく巨大な隣国・中国についてまだまだ知らないことが多いのだなと思いました。まず外から捉え切れない理由として各種統計の少なさがあります。公表される統計自体が少ないですし、その統計の取り方に問題があることがあります。特にかつては経済指標の内容が地方党幹部の出世に影響するため、かなり水増しされることがありました。そのため、統計分析においても数字をそのまま受け取るのではなく、かなり補正してより実態に近い推計を出すことが求められます。
他にも数字の伸びを競うために市場の求めとは関係なく生産されたこともありましたし、材料の供給網が非効率であったこともあります。党員が3人以上いれば企業内に党支部が置かれ、経営者とは別の人間が権力をもつ、いわば二重権力の問題もありました。沿岸部と内陸部の発展格差の問題もあります。反面、日本における眼鏡産業の福井県鯖江市、金属洋食器産業の新潟県燕市のように、中国には単一の産業が集積した都市(バルブの温州市)が多数あるのも特徴です。これは儲かる産業が見つかると、そのノウハウを周囲の人と共有し、教え合う文化が盛んであることのようです。知的資産に対する考え方が世界とは違うようです。
このように外から見ても分からないことが多い具合ですから、中国国内でも経済政策の運営は相当難しいのではと思います。とはいえ、巨大な市場がそこにあって自国だけではどこの国も生活していくのは苦しいわけですから、経済的な付き合いは止めらないのが現状です。軍事力だけを誇示してもそれらは生産的ではなく武力が豊富であるほど無用な食い扶持がさらに必要になるわけで、ましてや国民の負担が増えれば、対外問題より内政の不満解消に努めなければたいへんなことになります。民間の経済交流で国際関係を良くする道の方が断然得だと思います。

まさに腹が減っては

これから読む本は、丸川知雄著『現代中国経済〔新版〕』(有斐閣、2400円+税、2021年)。このところ台湾海峡の安定について注目が集まっていますが、大陸側がすぐにも力づくで獲りにくるかのような煽り方はどうかと思います。『キッシンジャー回想録 中国』の中では、毛沢東が三国志を好んで読んでいたことが紹介されていましたが、中国の外交手法を顧みると、「夷狄をもって、夷狄を抑え(以夷制夷)」や「夷狄に夷狄を攻撃させる(以夷攻夷)」を彷彿とさせる点があり、毛沢東に限らず漢民族が有する歴史的教訓として常に脳裏に刻み込まれているのではないかと思います。それと、三国志で描かれた戦いでは、兵糧の確保が重要だったことが理解できます。数十万の軍隊も食い扶持がなければ、まるで戦力にはなりません。それどころか、食えなければ餓死するか、反乱が起きてヘタすれば敵に寝返ってしまわれるリスクもあります。特に高齢化が著しい現代中国では大勢の老兵たちの老後の生活維持が社会的課題になってくると思います。台湾の取り込みどころではなくなってくるではないでしょうか。

今年の国体開催も難しいのでは

きょうから競技役員として参加予定だった、国体九州ブロック大会が中止となりました。役員や選手のほとんどは日頃企業や学校などの団体に所属していますので、目下の感染状況から県をまたいだ移動を禁じられるケースは多いと思います。中止はやむをえないと考えます。本大会となる「三重とこわか国体」については無観客とすることが既に決定していますが、三重県が8月18日に発表したところでは、9月25日以降が会期の競技については、9月4日時点で開催可否を検討することとなっています。本大会の開催はたいへん厳しいのではないかと思います。開催3週間前にこだわらず早めの決断が望まれます。

アフガニスタンの子どもたちの教育は

アフガニスタンの政権があっけなく崩壊しました。同国と日本とのかかわりでいえば、故・中村医師のような民間での支援が思い起こされます。私も3年前に公益財団法人ジョイセフを通じて子どもが使っていたランドセル2個と未使用の文房具を同国の子どもたちへ寄付しました。子どもたちとりわけ女子の教育支援が必要とされているなかにあって見知らぬ誰かの役に少しでも立っていればと期待しましたが、これからどうなるのか憂慮しています。こうした混乱した地域への支援は、必ずしも政府間のそれが有効とは限りません。相手の政府関係者が中間搾取してしまうことがあるからです。日頃、多くの日本国民が目にすることはないと思いますが、外務省や国家公安委員会が告示しているタリバンリストというものがあります。これは、国際連合安全保障理事会決議に基づく資産凍結等の措置の対象となるタリバーン関係者等を指定する情報リストです。たとえばアルカイダと資金面でかかわりがある人物の個人名やパスポート番号等が官報に掲載されています。私たち行政書士は、こうした人物から業務の依頼は受けられません。同様に企業もそれらの人物との取引は行えません。それはともかく、これから先ますます民間同士の支援が重要になります。日本政府の出番があるとすれば、難民や留学生の受け入れを増やすことではないかと思います。

東アジアの時空を知るには

今月、地元紙・熊本日日新聞の「わたしを語る」欄において、思想史家・京都大名誉教授 山室信一「熊本発 アジアの時空を歩く」が連載中です。同氏の功績を知るには、著書を読むか、謦咳に接するかが一番です。私が大学在学中の1983年度の1年間だけ非常勤講師として政治学科の専門科目を開講されていたのを知ったのはずいぶん後のことで惜しい思いをしました(コメント写真は当時の履修要覧より)。講演でナマの姿を拝見したのは、2013年に熊本市で一度だけあります。昨日の朝日新聞には切れ味の鋭い歴史の見方が載っていて、ほんとうはこういう視点を引き出す力を地元紙にも求めたい思いました。連載の後半に期待したいものです。