2020年」タグアーカイブ

建設業の推移から感じること

行政資料なので誰でも知ることができるデータなのですが、建設業の推移には大きなものがあります。まず1983年度以降の国の公共事業関係費の推移を見ると、補正追加後のピークは1998年度の14.9兆円となっています。2019年度は8.6兆円でピーク時の約半分、30年前の1989年度と同じです。円建てでそうですから、ドル計算でいけば、30年前より減っているという計算になります。この傾向は熊本県においても同様で、熊本県土木部投資的経費(一般会計当初予算ベース)の推移で見ると、ピークは1996年度となっています。1999年が「くまもと未来国体」の年でしたから競技施設や道路などの大型工事が多かったことを示しています。2019年度はピーク時の3分の1以下となっています。公共工事では土木工事が多く、民間工事では建築工事が多いので、業界関係者と一般市民とでは景況感がずいぶんと異なるかと思います。景況感が違うということは先行きに対する期待感・不安感が違って当然なのかもしれません。写真は投稿とは関係ありません。

良識と教養の陶冶を心がける

先週土曜日に続き、本日も所属団体の研修会です。同じ会員でもこのような会場で顔を合わせる方とは専門分野、得意分野、力量が自然と分かるのですが、当然出てこない会員のそれについては知ることが少ないものです。往々にして普段知らない会員の名前が耳に入るのは、その立ち回り先からで、どちらかといえばネガティブな情報として入ることが多いです。士業専門家に依頼する際に不安であれば、他の会員に名前を知っているか聞いてみるのも一つの判断方法になります。写真は投稿と関係ありません。

道徳が教科なのはおかしい

地元の小学校教員が児童の個人情報が入った私物のUSBメモリを勤務先の学校で紛失事件が10月にありました。本来はそうした私物のUSBメモリに校内の情報を入れて持ち帰ること自体が服務規定に反しているため、それらことが報道発表されました。発表時には教育委員会側から再発防止に努めるとの発言があったそうですが、現場の教員が自宅に児童の個人情報を持ち帰って仕事をしないと、終わらない実態を見ないでそうした発表の仕方をするのが茶番劇に見えて仕方がありませんでした。事実、その後の市議会で明らかになったことは、教員にアンケートをとった結果、実に44%の教員が私物のUSBメモリを使って情報の自宅持ち帰りを行っていると回答していました。これも正直に答えた教員の数字がそうであって、実際はそれ以上、つまり虚偽の回答も多かったと思います。つまり、規定違反ということと、虚偽回答ということが、教員の中に日常的にあると思われることです。そうした人に「決まりを守る」とか「嘘をついてはいけない」とかいう道徳教科を扱わせることほど不道徳な話はないのではないかと思います。あまりにも滑稽な話です。まず行わなければならないのは、規定や働き方の見直しです。ハナから守れない規定の下で働かせられて何も言わない被治者しか育てられない学校はいらいないと思います。

どう調整するのか

一昨日の朝日新聞に、イスラム教徒専用の土葬墓地を大分県内に整備する計画について地元住民の反対で滞っていることが載っていました。かつて国内では火葬よりも土葬が主であったわけですが、宗教上の理由でイスラム教徒は火葬を嫌います。イスラム教といえば世界で最も信仰する人口が多いわけで、日本国内でも教徒が増えていけば、土葬墓地需要は確実に増えます。こればかりは避けられません。今回は大分県内で計画が持ち上がりましたが、適地探しが必要になると思います。写真は投稿と関係ありません。

侵害コンテンツのダウンロードも違法

著作権法の学習をしていたらこれまでは侵害コンテンツのアップロードについては違法でしたが、来年1月1日から侵害コンテンツのダウンロードも違法となるということでした。たとえ私的使用目的であっても、著作権侵害しているコンテンツと知っていれば同罪というわけです。知的財産権の保護は強化されています。

第11期スタート

昨日から株式会社アテンプトの第11期が始まりました。といっても、現在の主要事業である就職ガイダンス講師の受託機会の回復は難しいと思います。設立10年経過することになるので、役員重任登記だけは行って次の10年は少なくとも存続させようとは考えています。行政書士事務所の方は来年4月に開業10周年を迎えます。今は、一人による行政書士法人も可能ですが、メリットを感じられないので、このまま個人事業として続けようと思います。

スマートなんたら流行り

最近いろんなところで「スマート」を付けた用語を見かけます。たとえば、スマート農業、スマート自治体などがそうです。AI・ロボティクスを用いて従来の半分以下の人的資源で業務処理を行うことが、その用語の意味に入っているようです。確かに業務が標準化・共通化できるものであればいいのですが、それを行うためにはシステムの導入経費がかかります。たとえば、経理処理などは全国どこでも同じですから電子会計ソフトを使えば良く、利用人口が多いので導入経費も安上がりです。しかし、規模が小さな組織や業務内容が容易に標準化・共通化できないものは、専門家の頭脳を借りなければ、処理できません。無理にシステムを入れると改修費用がバカ高くなります。AI・ロボティクスがもたらすスマートさ以上に、人のスマートさが重要に思いますし、人の高度化に経費をかける方がトータルで見て最も安上がりだと思います。

1952年体制の問題について

『レイシズムとは何か』は、私たちがいかに反レイシズムを行ってこなかったを知る好著だと思います。常日頃入管法を意識する行政書士ならば、在留資格についていくらか明るいかもしれませんが、その成立の背景やレイシズムに連なる問題点についてはあまりにも無知です。ましてや法務行政に係る職員や民間人でも人権擁護委員でもそうかもしれません。本書で紹介されていますが、1949年に当時の首相がGHQの最高幹部へ送った書簡には、たいへん驚くべき記述があります。当時はまだ日本国民であった朝鮮半島出身者を全員強制送還させたい旨を進言しているのです。全員強制送還こそありませんでしたが、1952年には個人の選択なしに一方的に日本国籍を奪い、事実上の国内難民化を実行しています。入管法の仮面を被ったレイシズム政策の歴史が残っています。

15分の1と考えてみると

国内有数の企業グループである三菱が創業150年を迎えたと先日の朝日新聞経済面に載っていました。約600社で構成されており、中でも三菱商事と三菱UFJ銀行と三菱重工業が御三家なのだそうです。かたや当方は創業してやがて10年となります。売上や社員数などでは宇宙史における人類史の割合ぐらいにまるで比較にならない存在ですが、15分の1の歴史を持つと考えれば、なあんだと思います。GAFAに至っては2分の1の域に達するので、時間軸ではだれが何をしてもせいぜいとかたかだかとかの世界なのかもしれないと思います。

出入国在留管理行政について

所属団体の研修で出入国在留管理行政について学びました。私が入会した2011年より2019年までは、訪日外国人数がずっと右肩上がりで伸びているのを改めて認識しました。年間600万人台から3000万人台へと実に5倍以上の急増となっています。もちろん2020年は10年前以下の水準に減少するのは確実だと思われます。しかし、外国人とどう共生するかという課題はこれから先もっと大きくなるということでもあります。ところで、今さまざまな理由で出国命令を受けながら出国待機の状態に置かれている外国人もいます。同命令に基づき出国した外国人の上陸拒否期間は1年間ですが、コロナの影響で出国できないからといってこれが短縮されるわけではないということでした。出国しない以上、再び入国できる時期が1年間以上先になるわけで、この点は気の毒だと思いました。

著作権について

著作権について改めて学習してみると、いろんなところで係わりがあることを知ります。よく間違えられるのが所有権と著作権の関係です。たとえば、会社のホームページをウェブデザイン会社に委託して制作してもらったとします。著作権譲渡の取り決めをしておかなければ、ホームページの所有権は委託した会社にあっても、そのホームページのデザインを使用してセールス用のパワーポイント資料を会社が作ると、それを知ったウェブデザイン会社から請求される恐れがないとはいえません。著作権は登録制度はあるものの二重譲渡した上で譲受者がそれぞれ登録すれば、同一の著作物が二重登録される恐れもあります。1967年に死亡した人と翌年以降に死亡した人とでは死後に保護される期間が20年間も異なります。これなどは最近の法改正でそうなったわけで、たえず新しい情報を理解していないとたいへんなことになると思った次第です。

著作権相談員養成研修

行政書士の登録団体が実施している著作権相談員養成研修をインターネット受講してみました。人権擁護委員として最初で最後のスマホ・ケータイ安全教室の予習の一環にもなりえると、急に思いついて学習しなおしているところです。社会人となって最初の勤務会社の事業が出版関係でしたので、もともとなじみがないわけではない分野ですが、今もこうしてネット配信を行っていることからも、あらゆる人にとって必要不可欠な法的知識になってきていると思います。

人権侵害の上に立つ経済成長はいらない

昨日の地元紙で、弱い立場にある外国人技能実習生が相談もできずに不利益を被っている現状が紹介されていました。その記事において外国人支援に取り組んでいる行政書士のコメントも紹介されていました。技能実習制度は人材派遣業と同じく人を商品として扱うため、どうしても人権がないがしろにされます。いわゆる非正規労働者の不当に低い労働コストの上に立つ事業活動が社会的に意義が認められるのか、考えてみる必要があります。写真は、昨日訪ねた熊本市民会館のマスコットのポスターです。

国民の権利保障は行政の義務

昨日の投稿でHACCP導入の義務化について触れました。そこで、地元の飲食業組合の幹部に小規模飲食店での導入状況について聞いてみたのですが、多くの店主の反応はというと、導入の義務化について知ってはいるものの現下のコロナ対策で手いっぱいで、HACCPどころではないという空気が大勢ということでした。食品製造業であれば、販売先から導入が取引条件として求められることがあるかもしれません。しかし、小規模飲食店のお客にしてみれば、HACCPという単語自体を知りませんし、実際に取り組まれているのか知るよしもありません。つまり消費者アピールとしては弱い面があります。店側にとって毎日の業務の中でしかも限られた従事者にとって衛生管理の記録を付けることは煩雑ということもあります。記録方法については、IT化もあるかと思いますが、コストやリテラシーの課題もあります。さらには、行政現場の問題もあります。食品衛生管理については保健所がその最前線となりますが、こちらもコロナ対応で手いっぱいなのではないでしょうか。
法律は、国民に法律を守る義務を求めますが、国民の権利を保障するために行政に義務を課してもいます。話は変わりますが、現在、女子差別撤廃条約を批准していながら、個人通報制度の導入を定めた条約議定書の批准をしないままの政府に対して批准を迫る動きがあります。これなどは、表向きは女子差別撤廃をうたいながら、女性の権利を実際に保障する仕組みは働かせていないことになり、法律はあるけど守らないといっているようなものです。国民に義務を求める以前に行政が義務を果たさなければならない問題は、ずいぶんあります。

食品衛生管理が変わりました

すでに半年近く経過していますが、実は今年の6月1日の改正食品衛生法施行によるHACCP(ハサップ)制度化のため、すべての飲食店においてHACCP導入が法的義務となりました。ただし、現在は1年間の経過措置となっています。新型コロナ感染防止が必須である今だからこそHACCP導入の意義が高まっているともいえます。その導入支援にあたれる専門士業者は行政書士です。
私自身の衛生管理に関する経験といえば、第一種衛生管理者免許を有していることもあってどちらかといえば労働安全衛生の観点から従事したことがあります。しかし、これからは食品衛生管理の点でもお役に立てるよう研鑽に努めていきたいと考えています。
ところで、HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法のことをいいます。Hazard Analysis and Critical Control Point(危害・分析・重要・管理・工程)の頭文字をとったものです。

人権感覚が問われている

ある外国人留学生が認められた就労時間をオーバーしていたために、在留資格延長が不許可となり学校も中退せざるを得なくなり、内定していた就職先への入社もかなわなくなりました。本人の人柄を知る日本人関係者も支援していますが、たいへん気の毒な状況に置かれています。そのことが、地元紙に取り上げられていました。入管行政が一度出した処分を取り消させるのはよほどの処分の不当性がない限り至難の業というのが実情です。一方、帰国もできない環境の外国人元留学生に就労も認めずどうやって生活しろというのかという問題になってくると、これは入管申請の枠を超えた人権問題にもなります。外国人とか日本人とかということの関係なしに、読者の人権感覚が問われていると思いました。

https://this.kiji.is/701952885799011425?c=92619697908483575

元法相名のレアな委嘱状が記念に

現在は小菅に身柄が置かれている元法相名で昨年10月1日、人権擁護委員を委嘱されてきましたが、今年末をもっての辞任意向の届けを出しました。実際に委員に就任してから感じることは、この制度自体が国民の人権擁護のためには実効性に欠けた存在であるということでした。
日弁連が昨年10月に開いたシンポジウム資料からの参照になりますが、まず法務省の人権擁護活動を担う体制は、以下の通りになっています。法務省設置法第2条は「人権の擁護に関する事項」を法務省の任務とし、同省にあっては人権擁護局がその職務を担当しています。法務大臣の下に人権擁護局、全国8法務局に人権擁護部、その下に42地方法務局の人権擁護課があり、職員定数は約220名(2018年度)です。人権擁護行政は「人権侵犯事件の調査及び情報の収集」「民間における人権擁護運動の助長」「人権擁護委員に関する事項」を法務局及び地方法務局の所掌事務としています。本省から地方法務局を通じ、人権擁護行政に従事する職員はその人事キャリアの一過程として人権擁護部門に配置され、ローテーションにより他の部門に異動するのが通例です。地方法務局・支局・出張所では人権擁護課の職員は他の部門の職務と兼任していることも稀ではありません。そういうこともあって、人権委員会設置法案の動きを知っている職員はいても、国際人権法では常識である国内人権機関については知らない職員も多いようです。人権擁護委員の選任についても同様のことがいえます。法務大臣が人権擁護委員法に基づき委嘱する人権擁護委員は、「人権侵犯事件につき、その救済のため調査及び情報の収集をなし、法務大臣への報告、関係機関への勧告等適切な処置を講じること」を職務とし、各市町村から推薦を受けた民間人が委嘱されます。定員は1万9,844人(2018年度)、実員は約1万4,000人であり、給与の支給はない名誉職です。出身は定年退職した学校長や行政従事者、僧侶などが多く、社会階層的にも人権侵害を認知する立場の人から遠い人が多いようです。
法務省の人権擁護活動は、人権侵犯が認められた場合でも、措置は加害者の説得、指導にとどまり、侵害行為を直接停止・是正させる権限はありません。また、現に行われている法律、行政などに関し、政策提言する権限は当初から有しません。現在の人権擁護行政について、法務省自身も、「人権救済等に必要な専門性や経験を有する人権擁護委員が必ずしも十分に確保されていないため、活動の実効性にも限界がある。」と認めている記録がある通り、パリ原則が設置を求める国内人権機関と比較すると、現行の体制・制度は人権を擁護するには無能無用と評価せざるを得ないのが現状です。

里山の今

地元紙で昨日と本日の2日間、私が住む地区の里山の課題について報じられている。かつては、日常の煮炊きに使う薪を集めるための山としてあったのですが、今は電気やガスの生活ですから、雑木は伸び放題となっています。山の土地の権利も周辺住民の共有地であったり、境界確定ができない状態で、しかも未相続の状態になっている筆も多数あります。所有者が不明となっている状況で土地の使用者は住民ではなく、イノシシという有り様です。住宅地はというと、里山を利用してこなかった新しい住民が大勢を占めていますので、地区で私有地の問題に対処するという面でも難しいところです。