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ダンバー数と年賀状、宗教的無色、CF

高齢者が終活のために年賀状を差し出すのを取りやめる一方、現役世代のなかにもインターネットを介した連絡手段の普及を理由にやはり取りやめる動きが出ているのを、今年は特に感じました。私の場合は、今のところ、自分自身の生存証明の意味合いもあって、お知らせしたい方に絞って差し出しています。宛先には後期高齢者の方が多いので、返信はもともと期待していません。こちらが気づかないうちに鬼籍に入られた場合で気の利いた身内がいれば、その旨を知らせてくれることもあります。当方側が一方通行の顧客にあたる取引先関係にはこちらから差出も返信も行いません。そんなわけでだいたい例年150通(人)以内に収まっています。この150人というのは、英人類学者のロビン・ダンバーの名前に由来する「ダンバー数」と言われます。ダンバーは、現世生存人類(ホモ・サピエンス)が社会的信頼関係を築けるのはせいぜい150人ほどと言っています。
本日の朝日新聞の社説のなかでも、この「ダンバー数」に触れた記述がありましたので、アレと思いました。社説では、大企業における不正の温床について書かれていたのですが、大学や高校の運動部でも部員が300~400人もいるところで、昨年不祥事が明るみになったことを思い出します。
昨年は、ダンバー氏の著書の『宗教の起源』を読み、ずいぶん刺激を覚えました。それで、本日の朝日新聞紙面に話題を戻すと、社説の対向面のオピニオン欄「交論」コーナーで、紛争解決研究者が、日本は紛争解決にどういう貢献ができるかという記者の問いに、「日本は宗教的な色がほとんどない。(中略)仲介役に適しています。」と答えているのが、なるほどなと感じました。さらに同じコーナーで、国際人権法研究者が、「クリティカル・フレンド」(=相手のために耳の痛いことでも忠告してくれる友人)を大切にする重要性を述べていました。
同じ価値観だけの居心地のいい関係も大事ですが、それを超える異質な集団との良好な関係も大事です。けさはいろいろ考えさせられました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15834482.html
写真は記事と関係ありません。イギリス、ロンドン動物園(1994年1月)

企業サイト巡り体験

再生可能エネルギー関連の事業を行っている企業サイトを昨夜から本日午前にかけて100社以上見る機会がありました。子細に見ると、関連事業とはいってもすそ野が広く、初めて知る企業も多く、見聞を広めるのに役立ちました。ただ、気になるのはいまだにSSL認証が施されていないURLがあったり、トップページでクッキーの受け入れを要求する画面が登場したり、ひどいのになるといきなりアンケート画面が登場したりする企業がありました。会社概要ページでもやたらと代表者の写真が大きいのとかもあって、圧が強すぎるのもありました。調べたい目的はほかにあったのですが、自然とホームページ活用が洗練されているか否かを感じる機会となりました。
写真は1994年12月撮影のワイキキビーチ。

覇権のファンダメンタル

今月前半の読書は『ヨーロッパ覇権以前』で楽しみました。栄代から元代をはさみ明代初期まで遠くは東アフリカまで大きな海軍力を伴って交易の海洋進出を果たした中国の盛衰について考察した部分は、現在に通じるものがあって面白かったです。原書が出版されたのは1989年ですから、現在の世界に占める中国の影響の大きさとは異なる頃に書かれた点でも、興味深く思いました。ただ、著者の中国に関する記述は言語の違いもあるのか、間違いも多く訳注によってかなり補正しています。交易のグローバル化による感染症の流入により、ひどいときは中国河南地域の人口の9割近くを失う危機もあったとみられています。国内の経済危機が海洋進出どころではない事態を招き、その後、力の空白にヨーロッパのポルトガル、次いでオランダ、イギリスという具合に海洋進出があり、近代世界システムが形成されていったというのが、著者の見立てとなります。歴史上、覇権の基礎要素として海洋交易と感染症対策があったということを強く印象付けられました。
あと、昨日気になったニュースとしては、山口県においての多額の給付金誤入金事件で返金を求められた若者の所在が不明になって、町が民事訴訟に出て相手方の氏名を公表する事態となった問題です。訴えの中でこれまた多額の弁護士費用も上乗せされていましたので、行方をくらましている誤送金されたばかりか借金を無理やり追わされたようなものです。しかし、この若者のように普段手にしたことのない多額の現金を手にすると、ここまで後先の損得勘定がわからなくなるものなのでしょうか。逃げ回るというストレスを抱えているでしょうから、どんな心理状態なのか、心配です。もっとも、多額の現金を預かっているとおかしくなる例は山口の若者に限りません。たとえば、成年後見人を務める弁護士が今回の倍以上の預かり金を競馬につぎ込んでいたという事件が本県でもありました。法律の専門家でもこうした常識外れの行動をとる人は珍しくありません。いわゆる士業専門家の中には若い頃に資格取得に専念するあまり会社勤めなどの社会人経験がなく、身だしなみが疎かなことはもちろんのこと、人付き合いでも独善的な人が結構います。こういう輩は人から忠告されるとコドモのように憤慨して反論するので要注意です。たいていの大人は、こんな場合、当の本人を刺激しないように口をつぐんでいるだけですから、当の本人側は自分が周囲からどう見られているか普段気づいていないのが実態なのです。いつの世もそのように動いているものです。ともかく成年後見人も家庭裁判所からハズレの専門家をあてがわれることがあるので、それを利用しないで済む対策を講じることが重要かもしれません。
写真は、ファンダメンタルな話の投稿をしていたら、パンダメンタルな気分になったのでロンドン動物園で見たパンダです(1994年1月撮影)。海外では、このロンドンと天津で見たことがあります。