11月9日は1989年のベルリンの壁崩壊から35年の日にあたりました。壁の設置が始まった1961年でしたから、壁が存在した期間は28年間あったのですが、今となっては崩壊してからの年数が長くなったことを改めて感じます。一方でこの頃から日本は次第に元気を失い、すっかり冷笑主義がはびこる、つまらない時代になったように思います。
私がベルリンを訪ねたのは、1992年の暮れでしたから、その当時は壁崩壊がわずか3年前のできごとでした。まだ取り壊されていない壁や犠牲者追悼碑も多くあり、境界のかつてのシンボル、ブランデンブルク門周辺には出所不明のコンクリート片や旧東ドイツ軍の帽章などが土産物として売られていました。チェックポイント・チャーリーの検問所跡地のすぐ脇には1963年に開館した民間の博物館、壁博物館があって、東ベルリンから西へ越境する際に使用された自動車・飛行船などが展示されていて、まさに命がけの脱出の凄まじさが伝わりました。
こうして振り返ってみると、時代は変化するものです。それだけに分断と統合の歴史を記録し続ける博物館の存在価値には非常に高いものがあります。
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過去・今日・明日
10月8日の朝日新聞記事中に、ドイツ近現代史が専門の石田勇治著『過去の克服』(白水社)から以下の引用がありました。「民族には自らの歴史を冷静に見つめる用意がなければなりません。なぜなら、過去に何があったかを思い起こせない人は、今日何が起きているかを認識できないし、明日何が起きるかを見通すこともできないからです」。これはドイツのある首相の言葉なのだそうです。神話の記述を史実と信じ込む程度のオツムの議員センセイ方に聞かせてやりたい言葉でした。
写真はベルリンのペルガモン博物館の代表的な展示構造物「イシュタール門」(1992年12月撮影)。紀元前560年頃のバビロニアの古都バビロンにあったものが再構築されています。同館は今月23日から14年間にわたる大規模な改修に入るため、しばらく観ることができないそうです。
そこに壁はない
定数1オーバーの立候補による地元の市議会議員選挙が、昨日投・開票でした。ポスター掲示以外にほとんど運動を行わなかった新人候補がひとりいて、供託金没収ライン未満の得票でした。結果、旧統一教会(関連団体を含む)との接点があったと指摘される2名の現職を含めて選挙活動を行った18人全員が当選となり、事実上無投票に近い選挙戦となりました。
有権者の一人として今回の選挙で注目したかったのは、接点があったと指摘される候補が本件についてどのような説明をするのか、今後その関係をどうするのかを知りたかったのですが、残念ながら一切触れられることがありませんでした。また、本件について問題視する他の候補もほとんどありませんでした。ある党派の候補は問題の存在について触れることはありましたが、2人の名指しは避けたため、論戦が展開されるまでには至りませんでした。今回立候補した現職のほとんどが、旧統一教会の意向を受けた、青少年健全育成基本法と家庭教育支援法の制定を求める意見書提出議案について、賛成した過去を持っていたので、無理からぬ点があったかもしれません。
しかし、選挙戦で表面化することはありませんでしたが、選挙戦前から多くの市民の間で本件にかかわる情報が共有されていたようにも思います。つまり、当人が思うほど不都合な事実の隠ぺいに成功したわけではありません。むしろ説明責任を果たさなかった行動に堕したことが知れ渡り記憶されているように思います。当人の得票数には表れない多くの不信感が残ったのではと思います。
壁に耳あり障子に目あり、隠しごとはすぐにバレるとも言われますが、ネット社会の今日においては、すでに壁すらないという気持ちで政治家は常にいないと務まらないと思います。
写真は、ドイツのベルリンの壁(1992年12月撮影)。
ネット選挙運動の注意点
主権者である国民の政治参加の方法には選挙における投票行動がまず思いつきますが、選挙運動という形もあります。しかし、選挙運動にはその手法と主体者要件にさまざまな制約が公職選挙法で定められており、注意が必要です。2013年の参院選から解禁されたネット選挙運動を一般有権者が行う機会も多いと見受けられますので、ポイントを示してみました。
・ネット選挙運動を行える期間は、公示日から投票日前日まで。今回の参院選では6/22-7/9。
・一般有権者によるHPやブログ、SNS、動画投稿サイトでの情報発信は可。
・一般有権者による電子メールやSMS送信は不可。
・候補者や政党等から届いた電子メールを一般有権者が転送や印刷配布するのは不可。
・一般有権者によるラインやフェイスブックのメッセージ送信は可。
・一般有権者が選挙運動用の有料ネット広告を出すのは不可。
・第88条の選挙事務関係者は、在職中、その関係区域内において選挙運動禁止
※選挙事務関係者:①投票管理者、②開票管理者、③選挙長及び選挙分会長
・不在者投票管理者(選挙事務関係者の一つ)は、不在者投票に関し、その地位利用による選挙運動禁止。
・特定公務員は在職中、選挙運動禁止。
※特定公務員:①中央選挙管理会の委員及び中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の職員並びに選挙管理委員会の委員及び職員、②裁判官、③検察官、④会計検査官、⑤公安委員会の委員、⑥警察官、⑦収税官吏及び徴税の吏員
・公務員等は、その地位利用による選挙運動禁止。
※公務員等:①国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員、②沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員
・教育者は、その地位利用による選挙運動禁止。
※教育者:教育者(学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に規定する幼保連携型認定こども園の長及び教員をいう。)
・年齢満18年未満の者は、選挙運動禁止。
・選挙権及び被選挙権を有しない者は、選挙運動禁止。
誤解を受けない文章作成力は大切
先週金曜日に4回目のワクチン接種についての案内文書が地元市から届きました。一読して送付先対象を誤った文書が送られてきたのではないかと思いました。その後、市のホームページで関連情報と照らし合わせると、対象条件の記載を一部省いてあったために、送付先を誤ったものではないにしても、きわめて誤解されやすい記載内容だったと判断することができました。市町村発の文書の文例が国や都道府県から回付されてきた場合は、全国的あるいは全県的な話題になりますが、市町村独自で起案した文書だと限られた職員の文章作成能力の程度が如実に表れるのではと思います。そういえば、1回目の接種の時にある政令市の案内で予約受付開始日の記載がなく、その開始日前に文書が届いて大混乱した出来事を思い出しました。
写真はベルリンのブランデンブルク門前の露店(1992年12月撮影)。
居住の権利
ロシアが占領地のウクライナ国民をロシア国内に強制移住させているらしいという報道がありますが、強制移住は明確にジェノサイドです。たとえば、権威主義体制下の地から人々が自発的に脱出を試みて移住する権利は認めなければなりません。写真は、ベルリンの壁博物館の館内(1992年12月撮影)。壁を越えて西ベルリンへ脱出した人々がとった手段の品々が数多く展示されています。
訊いてほしかった
中学生のときに学校隣りの市民会館の屋上から飛び降り自殺した1学年上の男子生徒がいました。昨日未明の夢でやたらその事件のことが出てきて、その関連で昨日の投稿は中学生時代に感じた進路のことに触れました。そしたら、けさはやはり一つ年上のタレントの自殺報道があってそれぞれどのような悩みがあったのか気になりました。苦しいときはとにかく自死以外の方法で逃げてほしいと思います。写真は、1992年12月、旧・東ベルリン地区でみかけた旧・東ドイツの国民車「トラバント(愛称:トラビ)」。