難民審査が任せられない

昨日の朝日新聞で入管庁長官のインタビュー記事が載っていました。驚きだったのが、「審査にあたる入管職員が、申請者の母国の政治じょうせいなどの知識を深めることや、申請者の協力を得ながら何が起きたのかを聞き出し、現地情報とつきあわせていくインタビュー手法を習得するなど、資質の向上も課題に挙げた」とあった点です。つまり、難民審査を行う入管職員の資質が欠如していることを認めていることになります。難民といった場合、内戦によるものだけでなく、民族や宗教など、政治情勢以外にも社会、文化情勢もあります。日頃、留学や就労などの側面からの在留資格申請を中心に審査する機関では、こうした海外情勢に疎いのが当然とも思います。職員の中に国際政治を専攻したり、紛争当事国・地域に暮らしてた経験をもつ人は、ほとんどいないと思います。しかも、最初の審査は入管の担当者だけで行われ、弁護士などの立ち会いは認められていません。将来的に立ち会いが認められたとしても、国内法には明るくても国際法や国際政治情勢に明るい弁護士はこれまたほとんどいないと思います。結論から言えば、現在の入管庁に審査を任せるのは無理があり、難民条約が求めるところの人権保護を果たせない不名誉な国に成り下がってしまうことになります。