うーばんぎゃーは嫌いではない

(一財)水俣病センター相思社発行の『ごんずい』(160号)の中で、ある東京生まれの方が親族も仕事のアテもなく水俣に住みつくことになったと、石牟礼道子さんに話したら、「それは、うばんぎゃあな話ですねえ」としみじみと言われたと書かれていました。久々に出合う言葉で懐かしく感じました。熊本弁の「うーばんぎゃー」には「おおざっぱだ」という意味があるとされていますが、けっして非難されるような「杜撰さ」ではなく、笑って許してもらえる愛される「緩さ」を伴った人柄の行為に評される言葉のような気がします。義侠心にかられて拙速に動く古い熊本の人々に多い気質を指しているともいえます。「うーばんぎゃー」が嫌いではない自分を感じた次第でした。