文化の力は侮れない

国家ごとの宗教への向き合い方はよく知る必要があると思います。政治体制を保持したい側にあって最も恐ろしいのは個人の信条なのではという気がします。強権的な国家では権力者側自体が往々にして疑似宗教化して指導者の神格化が図られます。一方、弾圧される側は地下化して時に行動を起こすこともあります。為政者にしてみれば厄介この上ない存在です。どんなに軍事力の強化を図っても一番の不安は足元にあるのかもしれません。対外的に矛先を向けられる国家の側も際限のない軍事力の均衡に付き合うばかりが能ではなく、もっと文化的な力で強権国家へ影響力を及ぼすことに注力した方がいいと思います。
『現代中国の秘密結社』は、いろいろ考えさせられました。いくつかメモを記しておきます。
P.304-305「唯物主義を掲げる中国共産党が支配する「神なき国家」にもかかわらず、民間では大量の自称キリストが生まれ、不思議な教えが拡大しているのが中国の宗教の面白さだ。」
P.314「なぜ中国共産党は他の秘密結社とは違い、中華の大地を制覇できたのか。それは彼らが「西洋から伝わった思想」を掲げつつ、「海外勢力と結託」して「政権の転覆を画策」し、さらに「国家統一の破壊」を進めて「武装反乱」に踏み切るという、たいへん危ない行為をフルセットで徹底的に実践したからである。結果、天下は共産党のものとなった。」
P.315「中国で天下を取る方法は、実際に取った者にしかわからない。すなわち、現代中国の秘密結社として最大最強、かつ最も成功した存在である中国共産党は、何をどうやれば自国の体制を崩壊に追い込めるかという「中国の壊し方」について、過去の先輩たちの豊富な実例と、自身の実践を通じて体験的に理解している。」
P.316「中国共産党が毎度毎度、「海外勢力と結託」「国家統一を破壊」と同じロジックばかりを使って自国の「邪教」や政治結社を攻撃するのは、実は「私たちはそういうことだけは絶対にされたくありません」という彼らの心の声の反映なのである。」