年末には久々に小説を読む予定です。『冬の狩人』の著者・大沢在昌氏は数々の警察モノを世に出していますが、その時代ごとの日本社会の変容を反映していてリアリティーを覚えます。前回読んだ同氏の『新宿鮫』の最新巻では民泊施設が舞台になっていました。かつて海外に舞台を求めた日本人作家としては、故・船戸与一が秀逸で、民族や宗教、政治体制など、血腥い国際社会が描かれており、生きた国際政治の教科書的存在でした。このように時代の変化を読むということは、優れて知的訓練になると思います。しばしばセンセイと呼ばれる人たちの言動を追うと、時代の変化に対応していないと思うことが多々あります。前例踏襲主義で当時は効果があったり、正しかったりしたことが、今ではそうではないことを知らないのか、思い込んで頑として曲げない愚かさに接することがあります。始末に悪いのは往々にしてそれらの行為が善意という思い込みです。