今読んでいる斎藤幸平著『「人新世」の資本論』には、ドキリとさせられる指摘が満載で面白いです。地球の将来を憂う気持ちがあるなら、新技術の効果について鋭敏な理解が必要だと思いました。そうでなければ、往々にして善意の人が良かれと思って実は子孫の首を絞めているということになりかねません。政府が進める脱炭素社会の手法が本当に正しいのか、実は危機便乗型のビジネスにうまく乗せられているのではないかを疑ってみる悪意が重要ではないかと思います。この書籍に載っている例ではありませんが、環境汚染対策としてひところアクリルたわしを使う運動があり、それを編んで製作する方がいました。それが、今では台所から下水を通じて海洋へのマイクロプラスチック汚染につながるということで、使用を普及させる運動は大半なくなったのですが、ある高齢の先達が弊害を指摘されても聞き入れず今も製作している例がありました。こうなりたくはないなと思います。ガソリン車から水素エンジンの燃料電池車へ移行しても燃料電池の製造工程を考慮すると二酸化炭素の排出量削減の効果はきわめて限定的というデータもあるようです。マイカーを減らして生活できる社会への転換がはるかに効果的です。