宇野重規著『民主主義とは何か』のp.180~p.181にドイツの社会学者マックス・ウェーバーが政治家に対して求めたことがコンパクトにまとめられています。ウェーバー自身はワイマール憲法の起草にも影響を及ぼした人物でしたが、ナチスの台頭を見る前に当時流行していたスペイン風邪で亡くなっています。彼は、政治家に3つの資質を求めます。それは、情熱と責任感と判断力です。政治家は他人を動かす権力をもっていることを自覚し、それに溺れることなく、責任を果たさなければならないと考えました。政治家には、自らの職務に対する献身を求めています。政治家は、自分の行為の結果に対して責任をもつ必要があるとしています。自分の信じていることは正しかったが、結果がたまたまうまくいかなかった、という言い訳は、政治家には通用せず、重要なのは結果であるとしています。主観的に自分が正しいと思う信条(心情)倫理だけではなく、結果に対して責任をもつ責任倫理が不可欠だと強調しています。政治によって生きる、つまり生活の糧として政治に携わる職業政治家ではなく、政治のために生きる、政治を使命として政治にかかわること自体を目的とする政治家を重視しています。やはり著者は日本学術会議会員としてふさわしいのではないでしょうか。