不快な童話作品

学校現場で実施される人権教室の教材に「こねこのしろちゃん」という紙芝居童話作品があるのを知りました。あらすじとしては、黒毛の母ネコから産まれた5匹の子ネコのうち4匹が黒毛で1匹だけ白毛だったのですが、その白毛の子ネコが黒ペンキを塗ったりしてなんとか黒毛になろうと努力するのですが、最後は白毛の父ネコと出会って自身が白毛であることを誇らしく思うという内容です。これこそは人の肌の色の違いを連想させ、黒人の母から産まれた子どもが白人で良かったと言っているようで、たいへん不快な話だと思いました。昨今では、国内の化粧品のCMでも美白効果をうたうことはなくなりました。ましてやこの童話作品をいまなお人種差別が激しい米国などで知られたら国際的な批判を浴びることは必定だと思います。ながらくこうした作品が人権教室で使用されていたことに、またそれにかかわる関係者の無感覚さにたいへん驚きました。
もう一つ、やはり人権教室で使用されるアニメ作品に「とべないホタル」というのがあるのですが、こちらは羽根が短くて飛べないホタルが擬人化されて、仲間のホタルの助けを借りて天敵にも捕食されない一方、身代わりで仲間のホタルが子どもに捕獲されます。ある小学校長経験者が原作者らしいですが、これなどは、自然淘汰の原則を完全に無視しています。ホタルが仲間同士で助け合うことなどはしません。子どもに人権のことを考えさせるなら人間以外の生物で示すのではなく、人間でその事例を示すべきだと思います。人間は身体的不自由があっても、医療や介護、合理的配慮を受けられますが、昆虫がそれを受けることはありません。自然の生態を無視して事例を示すまさに子ども騙しの手法は子どもにたいへん失礼だと思います。それこそが子ども扱いする人権侵害なのではないかと思います。私も子ども時代に学校現場でこのような馬鹿げた教育をさんざんバカな大人から受けさせられた無駄な経験を思い出しました。
けさの朝日新聞天声人語で一昨日亡くなられた、物理学者の小柴昌俊さんが一時期教えた中学校で「この世に摩擦というものがなくなったらどうなるか記せ」という試験問題を出した逸話を紹介していました。正解は「白紙答案」。なぜなら、摩擦がなければ紙に鉛筆で字が書けないからだそうです。科学とは、子どもの人権とはを考える際に、最高の教育の一例ではないかと思います。