共存への英知はあるか

けさの朝日新聞のオピニオン面のコラム「あすを探る 政治・外交」で上智大学教授の宮城大蔵氏が見立てている外交の思想が鮮やかで納得しました。
まず現在の日本の外交戦略は、「強引な海洋進出を含めた中国の膨張主義的な行動を前に、日米同盟の結束を一層固め、また、インド太平洋戦略などによってその拡充を図る。(中略)日米の結束に揺るぎがないことを示し、それを具現化するために日本もアメリカの世界戦略により深く関与することが重要となる。」こととなっています。
しかし、これには難点があります。「中国との軍拡競争に陥った場合、深刻な財政難の日本には圧倒的に不利になること」や「一見頼もしく映る「力と力」の外交路線は、それに特化するのは日本に有利とはいえまい。また、完全な日米一体化路線を追求すれば、逆に日本独自の存在感が希薄化し、他国からすれば、それならアメリカだけを見ておけばよいとなりかねない面もある。」と宮城教授は示しています。そこからは米国だけの繁栄の道しか見えてきません。
そこで、現在の外交戦略の行き詰まりに備えるヒントとして1950年代のインドのネール首相が展開した「友好による封じ込め」を同教授は紹介しています。これは、国境紛争も抱える中印の友好関係を世界に喧伝し、そのことによって中国がインドに対して敵対的な姿勢をとりづらくするものでした。
ともかく「力と力」の外交という発想は幅が狭く、行きつく先は現実の戦火となりかねません。日本と中国の共存と繁栄は周辺アジア地域にとっても互恵的なことです。人権や軍縮など国際社会が広く利益を得る外交を掲げながら日中の友好により膨張主義を封じ込める英知が国民に必要です。