小中華と神格化の萌芽

BSテレビの放送大学で昨日たまたま『日本の古代中世』の第2回「日本列島の原始から古代へ」・第3回「律令国家への道」を視聴しました。大和朝廷が成立する過程が紹介されていました。当時の大陸との関係、小中華と天皇神格化による倭国から日本への変貌についてたいへん引き込まれてしまいました。隋や唐からの学びや百済からの渡来人による影響など、成り立ちには外部との関係があることを認めないわけにはいきません。この時代から日本を見ていくと、アジアでも新しい地域という気がしてくるので不思議です。古来の伝統だといわれても、1500年くらいさかのぼってみれば、そうではないことの方が多く、そこ75年前の教育で育った日本人と同じくらい無知なだけのように思います。
今日の歴史学では『日本の古代中世』に載っていることが当然のこととして学べるのですが、アジア・太平洋戦争下の庶民の子どもたちは「日本ヨイ国、キヨイ国。世界ニ一ツノ神ノ国」「日本ヨイ国、強イ国。世界ニカガヤク エライ国」というように偏狭な自民族第一主義、神々に作られたという非科学的な神国思想を学ばされました。一方で、同じ時代に、スーパーエリートを育成する「特別科学学級」で学ぶ英才の子どもたちは、治安維持法下の禁書である津田左右吉の『古事記及び日本書紀の新研究』をテキストとして歴史を学んでいました。どのようにして権力者は民を統治するか、騙しのテクニックを学べたというわけです。