政治の力量が問われる

2018年10月に韓国大法院(最高裁)が韓国人元徴用工に対する賠償を日本企業へ命じる判決が出てから2年近く経ちました。韓国にある日本企業の資産を差押えし、現金化へいよいよ着手するということで、日韓関係のこじれは一向に解消されません。日本政府は1965年の日韓請求権協定でこの問題は解決済みであり、国家間では国際法(条約)が国内法に優先するので、韓国大法院判決は国際法(ウィーン条約法条約)違反との立場の一点張りです。この後段の国際法が国内法に優先するという部分は正しく、それで行くと韓国政府が三権分立で行政は司法に介入できないとして、判決任せで問題を放置するのは問題があります。ただ、日本政府の前段の主張、つまり日韓請求権協定で「解決済み」というのにも無理があるともいえます。仮に国際司法裁判所へ持ち込まれた場合、1910年の韓国併合条約が合法か不法かという問題に行きつきますし、今日の国際水準からすれば植民地統治の違法性は明らかですし、「解決済み」という日本の主張を通すのは苦しいのではないでしょうか。一般論としては正義であっても歴史的経緯を振り返ると、別の方法で歩み寄る寛容さは必要だと思います。この問題によって経済関係(輸出規制)や安全保障関係(GSONIA)でもぎくしゃくしたことも忘れてはなりません。互いに冷静になって相手を知ることが求められていると思います。