人権理事会

人権擁護委員向けに隔月刊行されている小冊子『人権のひろば』の中に、外務省人権人道課による寄稿「国連人権理事会での動き」という1ページのコーナーがあります。先月発行の『人権のひろば』(134号)では、同コーナーの掲載は第42回となっており、第43回人権理事会の動きが報告されていました。おそらくこれを手にする委員のほとんどは目にも留めないかと思います。一つは、2月25日に外務政務官がスイス・ジュネーブで行った演説です。演説で触れた分野の項目名だけ紹介されていて、物足りない内容でしたので、外務省ホームページで全文を読みましたが、それでも物足りない内容でした。他国の人権侵害へ目を向けさせる一方で日本の立場の弁解やイベントのPRに熱心な印象を受けました。それと、気になったのが、アジアを向こうに置く姿勢です。あたかも日本はアジアとは別なのだという姿勢が言葉の端にうかがえました。もう一つの報告は、今会期では国別決議案が14本、テーマ別決議が25本の、計39本が提出されているけれども、新型コロナの影響で3月13日を最後に会合が中断されており、採択の時期が未定ということの紹介でした。決議が遅くなるということは、それだけ人権侵害が長引くということでもあります。何か決議の手立てがないものかと思います。なお、日本は2017年1月~2019年12月に続き、2020年1月~2012年12月の3年間は、理事国(全体で47か国、アジアで13か国)となっています。2期連続の直後は続けて理事国になることはできません。日本の場合、技能実習制度や入管施設収容における人権侵害が問題視されていますが、こうした問題に対する所見報告を出させないために理事国へ名乗りを上げているのでは思う側面もあります。外務省の動きもしっかりと見ていきたいと思います。