自筆証書遺言書保管第1号で体験したこと

本日から申請が始まった自筆証書遺言書保管制度をさっそく利用し、地元保管所の保管番号第1号となりました。この申請は、法定相続情報証明制度と異なり、本人出頭主義がとられて代理申請は行えません。また当日いきなり申請窓口を訪ねても受け付けてはもらえず、ネットや電話で申請日時を事前予約する必要があります。初日ということでもあり、申請書の審査に1時間ほどかかりました。
今回実際に申請を行ってみて戸惑ったのは、申請書の入力(記入)についてです。申請書の項目の字面だけを追って入力すると、不要な部分まで埋めてしまう恐れがあります。なんだか特別定額給付金の受給申請で誤って「希望しない」にチェックを入れてしまいかねない様式を思い浮かべてしまいます。まず遺言者本人の記入欄で「遺言者が所有する不動産の所有地を管轄する遺言書保管所に保管の申請をする」のチェック欄と不動産の所在地記入欄があります。おそらくほとんどの遺言者は自身の住所地・本籍地と所有不動産所在地の法務局管轄が同一だと思いますので、先のチェック欄・記入欄は埋めてしまう恐れが多いと思います。住所地の管轄法務局に申請するのであれば、この欄は埋めなくてよいということが記入上の注意事項の別資料を読み込まないと理解できません。
次に、受遺者等欄というのも曲者です。一般に相続人は遺言により財産を受け取りますし、「等」とあるので、相続人の氏名・住所をすべて記入してしまいますが、これも記入上の注意事項をよく読むと、書かなくていいことになっています。この欄に書かなくてはならないのは、遺贈を受ける長男の嫁などです。相続を受ける配偶者や子らの氏名や住所を書く欄ではありません。
それでは、申請書において相続人の氏名や住所を記入する欄はどこかというと、「推定相続人を通知対象者に指定する場合」の欄になってきます。改めて認識したことですが、死亡時に遺言書が法務局に保管されていることが通知される相続人は1名だけです。全員ではありません。
遺言執行者を複数指定したとしても遺言者死亡時の保管通知対象となるのは1名だけです。
そのため、通知対象者である推定相続人や遺言執行者の住所が保管後に変更された場合は、その都度、遺言者あるいは成年後見人が変更を届け出る必要があります。もっとも、法務局では通知対象者に遺言者から保管証コピーを渡しておくように勧められました。
建物名欄のマス数が長ったらしいマンションだと収まらない短さでしたが、これは番地欄も使って埋めておけば何とか法務局で処理してくれるようでした。
最後に遺言書の様式についての注意点です。用紙はA4サイズとなります。天地左右それぞれに最低必要な余白の長さが定められています。財産目録は、ワープロソフトで出力したものでも構いませんが、すべてのページそれぞれに「署名」+「押印」+「通し番号/全ページ数」だけは自書が必要となります。