それぞれの働き方

岩波ブックレットの『新版 ひきこもりのライフプラン』を読み終えました。同書は2部構成になっていて、前半は精神保健学者の斎藤環氏による「ひきこもり」についての解説と「ひきこおり家族」を抱える家庭への支援あり方を示すものでした。後半は、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏による親亡き後のひきこもりの子のサバイバルプランを具体的に指南する内容になっています。
前半の部分では、ひきこもり症状について無理解なまま第三者が介入すると、たいへん危険だという感想を持ちました。無理解な第三者がたとえ支援の気持ちで介入すると、本人が負い目に感じている部分を逆なでする説教的な対応になりがちで、かえって助けにならないようです。まずは、家族が専門家と相談する関係が築けないと支援にはならないと感じました。
後半の部分は、ひきこもりの子が働かなくとも生活できる知恵の伝授なのですが、読んでて思ったのは、別にひきこもりの子を抱えていない家庭でも知っていて無駄はないなということでした。というのも、子が突然傷病で闘病生活や障害を負うことはありえます。現役世代であってもいつ休失業する状態に追い込まれることがあるかもしれません。大部分の人は年金生活、つまり働かずに暮らす生活を送ることを考えているわけですから、その状態が早く来ることはありえると考えておく方がいいと思います。
私が最初勤めた会社の経営者は、50歳になったら働かなくてもいいようにしなければならないと言ってました。私も当時は働くのは好きではありませんでしたから、早く働かずに済むようになるのならその方がいいと思い、経営者の言葉には賛成でした。
なぜ働くかといえば、楽したいから。それだったら、最初から働かないというのもありなのですが、楽をするには資産がないといけませんから、それを築くために働くというのが、私の働く理由でした。必要以上に働かないのが、自然だと考えます。
ただ世の中は働くことが美徳だし、70歳まで働けというのが政府の意思です。それに乗るのもいいですし、乗らないのもいいと思います。