農業法人における知的財産経営は追究に値する分野だと考えます。これまで農業法人における資産といえば、第一に農地、次に大型機械、収穫時期であればそれら収穫物であるわけですが、借地であれば農地はありませんし、施設園芸では大型機械を使いませんし、作付期間外なら農産物売上もありません。つまり目ぼしい資産が見当たらないのがほとんどです。
またこれまでいくら経験豊かな生産者であったとしても、そのノウハウが文書や数値でデータ化されていないため、本人がいなくなれば、たちまち行き詰まりかねないというのも大方の現状かといえます。そのことによりせっかく生産環境がありながら後継者を養成することができずに耕作放棄される例もあります。
逆にいえば知的財産経営が実践されていれば、当事者も持続経営できるし、他へ承継することも可能であり、その際は高く譲渡することも可能となってきます。
農業にあたっては環境に対応した管理が重要です。したがって環境計測技術と計測データ、環境制御管理はそのまま営農秘密となります。それらの効率的管理ができれば肥料・農薬・動力光熱費と、その作業に伴う労務費の削減をもたらします。あるいは種苗や各種設備。諸材料の仕入先選定も費用削減につながるのであれば、これも間接利益を生み出す知的財産といえます。
今後はこれまで売り物にならなかった規格外収穫物の商品化や海外展開もありえます。ますます財産的価値は高まってくるでしょう。
ただ残念ながら多くの金融機関や経営支援機関はこのような知的財産に目を向けようとはしません。旧来の思考でしか接しないために彼ら自身も成長のチャンスをつかみそこねています。そうであればむしろ知的財産に恵まれた経営者に近い人たちによる直接金融を活性化させ、当事者たちがうるおうことの方が、順当なのかもしれません。