2026年熊本地震の後、断水が続いていたこともあって、8月半ばころまで首都圏に滞在していました。その間に、息抜きを兼ねて2か所だけ美術鑑賞の時間を過ごしました。
最初に訪ねたのは、上野にある東京都美術館で開催中の「大英博物館日本美術コレクション百花繚乱」。ロンドンにある大英博物館へは30数年前一度だけ行ったことがあります。日本美術を含む東洋美術の展示室は同館の奥まったところにあり、ゆっくり見て回るには数日かけないと無理だなと思った記憶があります。それと充実した施設にもかかわらず入館料が無料で、多くの寄付で文化を支える気風に感心した印象が強く残っています。
さて、本展の目玉は、青森(春景花鳥図襖)・ロンドン(秋冬花鳥図襖)・シアトル(琴棋書画仙人図襖)に分かれて所蔵されていた狩野派の一連・一組の襖絵が一堂に会するというものでしたが、江戸時代を代表する浮世絵作品も多数展示されていて、より見応えがありました。大英帝国時代のコレクターの作品狩猟ぶりはさすがというか、抜け目ないと思いました。1回の実物鑑賞だけでは飽き足らず、公式図録を買って帰りました。
訪ねた当日は、公園の一角で「パキスタン・日本親善フェスティバル」のイベントが開かれて賑わっていました。その隣の国立西洋美術館での常設展はその日、無料入館できたのですが、それなら中は込み合っているだろうと判断し、素通りして次の目的地であるワタリウム美術館へ向かいました。
ワタリウム美術館は地下鉄の外苑前駅から徒歩7分の地にあり、「没後20年 ナムジュン・パイク|じゅげむ展」の開催中とあって今回初めて訪ねました。ナムジュン・パイクのメディアアート作品に最初接したのは、40年以上前の時期でした。その後、韓国・果川市にある韓国国立現代美術館やニューヨークのグッゲンハイム美術館でも作品と対面した体験があり、それだけ思い入れが深いアーティストの一人です。
今展は同館ビルの2・3・4階で開かれていました。2階フロアには、檜(?)のチップが敷き詰められていてその香り、踏みしめた靴底から伝わる感触もあって、視聴覚だけにとどまらない作品の奥行を感じました。
ビル1階および地階にはショップやカフェ、ギャラリーが併設されていて、その空間もセンスが良く気に入りました。ギャラリーでは、コケシスキーの個展が開催されていましたので、思いがけず2つの展示を楽しめました。