「明治大学博物館」訪問メモ

大学が運営するミュージアムは日祝日休館の所が多いですが、一般に無料見学できることも多く、何よりも解説が充実していて結構見応えがあるものです。昨年10月には川崎市の生田にある明治大学平和教育登戸研究所資料館を訪ねて同館が考察対象とする「第九陸軍技術研究所」(秘匿名「登戸研究所」)が研究・開発していた秘密戦兵器・器材の記憶をじっくり受け止めてきました。とりわけ戦争の歴史については、被害や戦功は表の記憶としてまだしも語りつがれやすいのですが、加害の部分に加えて秘匿すべきとされた裏の記憶はどうしても消されやすいので、それを継承する意義は大きいと言えます。
さて、今回は神田駿河台にある明治大学が運営するミュージアム「明治大学史資料センター大学史展示室」「明治大学博物館」「明治大学阿久悠記念館」「明治大学米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館」の4施設を初めて訪ねてみました。
以下は各展示の一口メモです。
・大学史展示室…卒業生の紹介コーナーなどがあります。しおりの表紙にはNHK朝ドラ「虎に翼」の主人公モデルで日本初の女性弁護士となった三淵嘉子さんが載っていて今も力が入っているなと思いました。総理大臣経験者の三木武夫氏については在学中の弁論写真も展示されていましたが、昨年亡くなった村山富市氏の紹介がないのは少し残念に思いました。1936年のベルリン五輪の金メダリスト・孫基禎氏に関連して日章旗抹消事件は承知していましたが、同氏が翌年明治大学に進学したことや卒業生だったことはここの展示で初めて知りました。
https://www.meiji.ac.jp/museum/university/daigaku.html
・明治大学博物館…商品部門、刑事部門、考古部門の3つの展示コーナーに区分されています。商品部門では午年にちなみ、ことわざの「瓢箪から駒」を表した縁起物のコレクションが特集展示されていました。「瓢箪から駒」の語源は、驢馬に乗って移動していた中国の仙人が、乗らないときは瓢箪の中に驢馬をしまっていたいたという昔話だと言われているそうです。「現実には起こりえない、ありえないこと」あるいは「思いがけない出来事が実際に起こること」の例えとして用いられ、転じて「思いがけない幸運に恵まれる」という縁起物が生まれたというわけです。刑事部門では拷問具や死刑罰具のゾッとする展示が目を引きました。考古部門の特集展示では中国鏡のコレクションが見られました。常設展示では関東地域から出土した収蔵品が多い印象を受けました。
https://www.meiji.ac.jp/museum/
・阿久悠記念館…5000曲以上の作詞を手掛けた稀代のヒットメーカーのメモリアル施設です。受賞トロフィーや年表を眺めると1970年代は阿久悠氏の30-40歳代の働き盛りであり、人の出来不出来はだいたいこの年齢で決まるよなと感じました。特に注目した展示は、氏が執筆には「ぺんてる社」のサインペンを愛用していたということと、作品を納品する際の原稿用紙には絶対に推敲修正の跡を残さないということと必ずタイトルをデザインした表紙を付けていたという仕事の完璧さです。父親は淡路島内を転勤する警察官で、元々は宮崎県の出身だったそうです。そのため一時期は宮崎県での教員を目指したそうですが、大学卒業後は広告会社に就職しています。また、戦争では兄が19歳で戦死しています。
https://www.meiji.ac.jp/akuyou/
・米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館…明治大学博物館や阿久悠記念館が入るビル「アカデミーコモン」の裏手には明治大学が所有する「山の上ホテル」があり、改装工事中でした。そこから近いところに当館はあります。ここは火・水・木が休館なので、明治大学博物館とハシゴして訪問したいと場合は注意が必要です。それに開館時間も午後以降と遅めです。展示室は無料ですが、図書閲覧室利用は有料です。訪問したときは「コミケ50周年展」が開かれていて、入館者数は明治大学博物館よりも多かったです。館名にその名を冠する米沢嘉博氏は1953年、熊本市に生まれ、明治大学理工学部を卒業しています。1980年から亡くなる2006年までコミックマーケット準備会代表を務めました。コミックマーケット(略称:コミケ)とは、世界最大の同人誌即売会です。直近(2025年12月、東京ビッグサイト開催)の「C107」の2日間の入場者数は30万人、海外からの参加者は少なくとも75カ国といいますから、相当なものです。普段は縁遠い世界ですが、これがこれからも続けられることを切に望みます。
https://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/
※番外:今年3月にリニューアルオープンした三省堂書店神田神保町本店ものぞいてみました。オープン記念のノベルティグッズ欲しさに、小島和男著『生まれたくなんかなかったのに それでも生きるための哲学』(幻冬舎新書、960円+税、2026年)を買い求めました。
https://jinbocho.books-sanseido.co.jp/
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344988057/