専修大学大学院の科目等履修生で良かった点として、11月11~18日の「図書・雑誌無料頒布会」の恩恵に与かれたことでした。これは、専修大学図書館所蔵の図書・雑誌のうち登録抹消したものを、学生や教職員に限って無料で入手できるというものです。大学側の案内によると、生田キャンパスで700冊、神田キャンパスで500冊が対象になっていました。そこで、頒布会最終日の夕刻に神田キャンパスを訪ねて、以下の書籍をいただいてきました。
■神田分館
実務公法学会編『実務行政訴訟法講義』(民事法研究会、6700円+税、2007年) ※カバーなし
■Knowledge Base
松浦寿輝『名誉と恍惚』(新潮社、5000円+税、2017年) ※カバーなし
甘耀明『鬼殺し 上・下』(白水社、各2800円+税、2017年)
上記のように新刊本で入手しようとすれば計2万円相当もする書籍ですから、たいへんありがたい機会でした。歳を重ねてくると、専門書はともかく、どうしても未知なる作家の文学作品を手にとるのは、ふだんないものです。このように無料で入手できるのであれば、あえて読んでみようかというきっかけにもなります。
すでに『名誉と恍惚』は、読み終えました。765ページにわたる長編ですが、ぐいぐい読ませる力を持った作品です。舞台は1937~1939年の上海。日中戦争が泥沼化していく時代の、ある日本人青年が謀略戦に巻き込まれ転落していくさまと、その後の結末が描かれています。著者の松浦寿輝は、1952年生まれのフランス文学者、東京大学で教授をしていた人です。
作品中で一つ気になったのは、p.71の記述で、「韮菜炒牛肝」に「ニラレバ」ではなく、天才バカボンのパパが広めた「レバニラ」という振り仮名があったことです。「豚肝」ではなく「牛肝」というのも引っ掛かりましたが、1937年の上海租界の日本人同士の会話では、時代考証的に果たしてどうだったのかと、気になりました。
なお、本作品は、昨年2月に文庫化され、現在は岩波現代文庫から上下2巻で刊行されています。作者が昨今の新潮社のスタンスに何かわだかまりを持っていたのかどうか、いきさつも多少気になりました。
そして、今読んでいるのは、1972年生まれの台湾在住の作家・甘耀明著の『鬼殺し』です。この作品の舞台は、日本統治時代の1941年12月から戦後の国民党軍による二・二八事件までの台湾の架空の客家の村。そこで生きる怪力の少年と祖父の物語となっています。どちらも日中関係の歴史を考える際の一助になるかもしれません。