ミュージアムめぐりの楽しみ

『忙しい人のための美術館の歩き方』(ちくま新書)という本が、今年7月に出て現在4刷1万9千部を数え、11月22日の朝日新聞読書面「売れてる本」欄で取り上げられていました。その本は書店で手に取ったことがあり、目次だけ流し読みしたことがあります。結局、私の場合は、読者として想定されているほど忙しないわけじゃないし、日頃から機会があれば美術館へ足を運んでいるので、いまさら必要ないかなと買いませんでした。
そこで、私の場合は、何が面白くてミュージアムめぐりを続けているかを振り返ってみます。突き詰めると、自分の好み・興味は何なのかを確認したい、自分の価値観を知りたいということなのではないかと思います。自分にはない才能の発露・知見の結晶を発見することで、より広く、より深く、自分を再発見する楽しさがあるのではないかと思います。それが世の中の役に立つかと言われれば、そもそも作品化・展示化した側だってそういう功利的な野心で表現・出品したとは限りませんから、観覧する側もそのつもりはありません。
それで、数あるミュージアムや展示の中からなぜそこを選んで訪ねるのかという理由もさまざまです。好きな作家の作品が出ているからというのが大きいですが、テーマ・企画意図が気になってということもありますし、ハコそのものへの興味ということもあります。同じ作家でも時期によって作風が異なることもありますし、さして好みではない作家でも題材次第では気になる作品があるということもあります。そうした点は文学その他の作家作品や日常の人付き合いでも同じなのではと思います。
今月後半だけもさまざまな会場を訪ねました。順不同ですが、葛飾北斎、岡本太郎、浜田知明、奈良美智、山口晃あたりが気になる作家だなと思いました。テーマでは、戦争や猫をけっこう気にしているなあというのが見えてきます。
写真(左) すみだ北斎美術館から見える東京スカイツリー。
写真(右) 清澄白河駅から東京都現代美術館へ向かう途中で見かけた石柱。「出世」を考えなくて済む気楽な稼業がいいねと思って撮りました。