銀座の「単向街書店」(英文表記店名:One Way Street Tokyo)で購入した、是川夕『ニッポンの移民』(ちくま新書、920円+税、2025年)は、日本の移民政策の現状を理解し、移民受け入れに伴う懸念(=デマ)を払拭するには、適した書籍だと感じて読了しました。
まずここは政府が「日本は移民政策をとらない」と国民へ言い続ける不誠実な態度を取ってきたがために多くの日本国民が誤解していることですが、日本はすでに先進国でも上位の「移民国家」の道を進んでいます(p.58)。最長5年間の中長期在留資格(特定技能を含む)は更新こそありますが、国際基準で言えば、永住型移民に該当し、日本は2023年時点で先進国中第10位に位置しますし、留学や企業内転勤などの一時滞在型も併せると7位になるそうです(p.47)。とりわけ外国人の受け入れが進んでいる介護分野では、現在、「EPA」、「留学などを経た在留資格「介護」の取得」、「技能実習」(今後「育成就労」に変わる)および「特定技能」とスキームが4つもあります(p.115)。
著者によると、「これまでの移民研究に基づけば、移民の受け入れ自体が新たな貧困や格差を生み出し、社会的な分断を生むことはほぼない」と断言しています(p.202)。「排外主義は民主主義を破壊する」ものでしかありません。
著者は、たとえば、在日外国人による健康保険「タダ乗り」の懸念は間違いとも指摘しています。具体的には「国民健康保険制度に加入する外国人は、留学生、自営業、フリーランスなど企業に雇用されていない者に限られる。実際、国民健康保険に加入する外国人は約90万人程度であり、在日コリアンなどの特別永住者を除く中長期在留外国人約350万人の1/3にも満たない」と書いてありました(p.211)。
「日本への移民は今後ますます増加する」(p.159)上、「アジアの堅調な経済成長とそこにおける新中間層の若者の移住先として日本が位置づけられる中で、個人レベル、送り出し受け入れ双方の国レベルのいずれにおいても、好循環を生みつつある」と力強く論じていました(p.225)。
ところで、最近、神保町界隈を散策する機会に恵まれました。神保町は本の街でもありますが、カレー店激戦区でもあります。せっかくなので、努めてカレー店で食事をして味比べをしてみました。それで店舗ごとに、そこで働く人たちがまちまちでした。日本人、インド人、パキスタン人、ネパール人…。混在で運営している店もありました。彼らの出身国同士の関係はいろいろですが、ここニッポンで仲良く住めることは外交的な強みにもなり、素晴らしいことだなと思います。このようにリベラルで開放的な方向へ国柄の舵をとるべきです。