弁護士による遺言書をめぐる講演を含む「認知症フォーラム」が、本日午前に地元市役所で開かれたので受講してみました。例年だと市の担当課による高齢者支援の福祉施策の説明や今回のフォーラムでもあった介護事業所による現場の話が中心でしたが、今年は法律の専門家を招いての催しとあって受講者も少し多いようでした。
それで、弁護士の講演内容についてですが、資料や説明で正確さを欠く点がありました。質問時間は設けられず、また受講者の前で公然と指摘するのも野暮だと考え、アンケートで指摘記入しておきました。
たとえば、資料には「小説『塩狩峠』 著者 三浦綾子、昭和41(1968)年に発表された小説」とありました。まずここで昭和41年なら西暦で1966年なので、おやおやと思いました。事実に即して表記するならば、「昭和41(1966)年から昭和43(1968)年にかけて雑誌『信徒の友』に連載発表され、昭和43(1968)年に単行本出版された小説」とあるべきでした。要件事実の「いつ」をここまでいい加減に表記しておかしいと気付けないとは驚きでした。
自筆証書遺言書保管制度の説明では、保管できる法務局は本局だけで支局ではできないというものもありましたが、これは誤りです。遺言者の住所地、本籍地、所有不動産のいずれかを担当(管轄)する法務局が保管所となりますから、支局でも保管してくれます。実際、私は地元支局の保管第1号の遺言者です。ほかにも資料や説明で正確さを欠いた点がありましたが、改めて資格称号だけで話を信用してはならないなと思いました。ファクトチェックされていない情報に接するときはなおさらです。
書籍の場合は、著者の専門性に加えて出版社側の目も入りますから、信頼度は高くなります。法律分野とは異なりますが、最近読んだ本では、藤井一至著『土と生命の46億年史』(講談社ブルーバックス、1200円+税、2024年)や高田貫太著『渡来人とは誰か』(ちくま新書、1200+税、2025年)が面白かったので、紹介しておきます。こうした本に親しんでおくと、ヘンな宗教やら政党に目覚めた連中の主張に騙されないどころか、容易に綻び=知の欠如を衝けるのでニヤニヤできて楽しいと思います。
そういえば、市役所入口にはハリボテ作品が飾ってありました。目の前の専門家が「つくりモン」かどうか見極めてみるべきです。