「世の中が万事円満であれば、生涯かけて誰が俳句など作ろうか」と、本日の地元紙連載に俳人の長谷川櫂さんが記していて、書く行為の根源には、誰しも熱さや執念、恨みつらみがあり、それがあるこそ他人にも作者の思いが伝わるのだなと思いました。
きょうの長谷川さんの文章では、30年以上前に当時小学2年生の長男が、同じ市内に住む大学生運転の車にはねられ、重傷を負った経験を明かされています。その加害者の大学生からおわびの一言もなく、その後どのような刑罰を受けたのかさえ、検察から知らされることもなかったとありました。その腹立たしさは今も忘れることができず、加害者の学生の名前を自分の死後に「墓の中まで持ってゆくつもり」とまで、心情を吐露されていました。
いつになく私的な憤激が込められた文章に驚きも覚えつつも、長谷川櫂という人物の生身の人間性を最も強く感じた回でした。