全国霊感商法対策弁護士連絡会のメンバーとして著名な紀藤正樹氏のX(旧ツイッター)投稿はフォローしていてよく目にしていましたが、同氏の著書を手にしたのは、今回読後メモを残す『みんなの政治六法』(青春新書、1100円+税、2025年)が初めてです。まず、「政治六法」なる用語自体が目新しいので、何なのかと単純に興味が湧きました。それもそのはず、著者独自の造語で、本書によれば「政治にまつわる法律(公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法、刑法、国会法、地方自治法)と、これらの法律の大前提となる日本国憲法」の呼称とのことです。でも、これ数えたら七法になるのではと、突っ込んでみたくなりましたが、しっかり「ある分野に関する複数の重要な法律をあつめたもの」(p.6)は一般名詞として「6つでなくても六法とよぶ」(p.6)とありましたので、この丁寧な書きぶりにすっかり好感を抱き、「好感商法」を受容してみることにしました。
さて、本書の中心をなすのは、政治家の政治活動や選挙運動に絡んだ事件・疑惑と密接な法律でありながら、国民・有権者にとってなじみが薄い公職選挙法や政治資金規正法の解説です。私自身は、地元市の選挙管理委員を務めた経験がありますので、いくらかは公職選挙法や地方自治法については親しんだことがありますが、それらの法律については『ポケット六法』程度では全条文収録されていませんし、条文だけを読んだとしても内容が理解しづらいと思います。公職選挙法は、立候補予定者あるいは投票管理者向けに提供される詳細な手引き書を読み込んで初めて分かることが多いものです。
しかし、本書でも触れてあることですが、たとえば公選法違反の疑いで問われるのは「故意か過失か」がです。立候補にあたっては書類の事前審査もありますから選挙運動のルールは知っているのが前提となります。知らなかった、うっかりミスの場合は、単純なウソなのか、本当に知らなかったのかのレベルが問われ、許されるとしても初回だけです(それでも政治責任は問われます)。近年事件や疑惑となったニュースを例にして何が問題だったのか書かれていますので、すごく短時間で読み終えることができました。
以上のことからもしも立候補に興味のある方がいれば、本書を先に読んでいれば、陥りがちなうっかりミスはなくせると思いました。実際のところ著者のねらいは、政治を良くするために立候補を決意する人が多く出てくることへの期待です。そのこともあって、選挙運動にかかわる公費負担の仕組みの解説もページが割かれています。3カ月間以上の住民要件不要の選挙に資質がない人物が立候補を繰り返す弊害も現実にはありますが…。最後に、それとは逆に選挙区内の推している政治家・立候補予定者に寄付を求めたりしていないか、住民側の注意も必要です。