田川市初訪問メモ

福岡県田川市内の2つのミュージアムで共に「戦争」をタイトルに含んだ企画展を開催中なのでハシゴして観てきました。1つは田川市石炭・歴史博物館の「戦後80年特別企画展 戦争と、炭坑のマチ田川」、もう1つは田川市美術館の「開戦84年 戦争と美術 チェン・チンヤオ展」です。
田川市は「炭坑節発祥の地」と言われるほど、筑豊炭田の中心地であり、60年ほど前までは日本のエネルギーを下支えた活気あふれる場所でしたが、現在は日本発のユネスコ世界記憶遺産「山本作兵衛コレクション」(炭坑記録画の多くを田川市石炭・歴史博物館が所蔵)や竪坑櫓や煙突といった産業遺産によって記憶の継承が行われています。私もかつて『写真万葉録・筑豊』(葦書房・絶版)を通じてしか知らない場所で初めて訪問しました。
石炭と言えば、脱炭素社会の実現に逆行する化石燃料として現在ではネガティブなイメージが強いですが、私自身が幼少期に冬の寒さが厳しい北海道で暮らしていたため、当時の暖房は石炭ストーブでしたし、懐かしさを覚えます。
ところで、田川市石炭・歴史博物館の見学で企画展以外の拾い物としては、常設展示の「馬形埴輪」と「甲冑形埴輪」でした。田川市伊田の猫迫1号墳から1999年に出土したと紹介されていました。この古墳は5世紀前半頃に築造されたものと考えられていますが、これらの埴輪が意味するものは、現在の田川にも朝鮮半島から馬の文化や鉄製武具の技術が伝わっていたということになります。
1976年生まれの台湾出身のアーティスト、チェン・チンヤオの存在はこれまで知らなかったのですが、その作品を観ると、国民の戦意昂揚に協力して戦争記録画を描いた藤田嗣治の作品中の兵士の姿・表情を消費されるアイドル風の少女に置き換えられているのが特徴です。嬉々とした表情で行動する少女たちを操るのは、戦争指導者とは限らず芸能プロデューサーやはたまたカルト政党や宗教の親玉かもしれず、戦争に限らず若い世代を食い物にする社会の不気味さを読み取ることもできそうな印象を受けました。
その他メモ
宝来軒…田川市役所近くのラーメン店。あっさりした豚骨味。麺は固め。カレーラーメン、カレーちゃんぽんがどうやら看板メニューらしい。
田川伊田駅…駅舎がホテル併設で外観が新しい。
伊田商店街…アーケード街だがシャッター街と化していた。
麻生セメント田川工場…後藤寺線・船尾駅をはさんで巨大な工場設備があり、威容を呈していた。後藤寺線と日田彦山線は今回初めて利用した。
福岡県内各地のミュージアムで戦争展が開かれている。