酷暑の平日なら来場者も少ないのではと、「きゅーはくのたから」と「ビアズリー展」を7月9日、ハシゴして観てきました。九州国立博物館の「九州の国宝きゅーはくのたから」は、九州・沖縄にゆかりのある国宝の展示が目玉となっています。着いたのが午前10時過ぎということもあり、狙い通り一般入館者はそれほどでもなかったですが、小学生の校外学習と思われる団体の入館者の多さが目立ちました。
九博での展示品では、熊本県の江田船山古墳出土品(東京国立博物館所蔵)と宮崎県の西都原古墳群出土品(東京・五島美術館所蔵)が、特に興味を引きました。前者は5-6世紀の朝鮮半島・加耶・百済、後者は6世紀の朝鮮半島・新羅との交流がうかがえる金工技術が施されています。福岡市博物館所蔵の国宝の金印は展示期間外にあたっていて、今回は観覧していません。会場内では東京・永青文庫所蔵の国宝「太刀 銘豊後国行平作」を間近に観覧できるコーナーで入場制限がされていました。おかげで、展示品から離れた位置から遠目に見ただけでした。ですが、これは2年前に永青文庫で見たのでまあいいかと。
ところで、九博へは西鉄の太宰府駅から太宰府天満宮参道を通っての往復になります。駅へ戻る参道で、「三の鳥居の前の門柱」と「二の鳥居」の寄進者が、白蓮事件で有名な炭鉱王の伊藤伝右衛門であることに、今回初めて気づきました。これもいくらか通常より人通りが空いていたために、彫られたその名が視界に入ったのだと思います。なお、伝右衛門が寄進したのは柳原白蓮と結婚した翌年の1911年(M45)、事件はそれから10年後の1921年(T10)に起きています。経済的には富裕でも無学で文字が読めなかった男が、歌人としての教養豊かな女性と結婚し、天満宮の鳥居をなぜ寄進するに至ったのか、ご利益はなんかあったのかなと、いろいろ思いを巡らせてしまいました。
続いて、久留米市美術館で開催中の「異端の奇才 ビアズリー展」を訪ねました。オーブリー・ビアズリーは、1872年に英国ブライトンに生まれ、1898年に25歳で早逝した人物です。画業に専念できた期間はたいへん短いのですが、一時代を築いた作品を数多く残しました。ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート美術館(1993年に訪ねたことがあります)が所蔵する作品を中心に展示されていました。ブライトンといえば、米国コロラド州ブライトン(地名の由来は米ニューヨーク経由でまさに英国のそれ)に遠縁の人たち暮らしていることもあって親しみを覚えますし、同じく夭折の画家であるエゴン・シーレ(1890-1918、28歳没)に通じる眼差しをその作風に感じて好みに入ります。
展覧会にはもちろん大満足でしたが、さらに堪能したいと図録を即座に買い求めてしまいました。暑い中歩き回って多少疲れましたが、図録入手により楽しみも持ち帰ることができました。