昨日の投稿で、菊池恵楓園歴史資料館の展示では「龍田寮事件」と表記されている事件名が、同園入所者自治会が発行する見学のしおり内では「黒髪小学校通学拒否事件」と表記されている点に着目したのを触れました。繰り返しますが、事件の実相を鑑みると、私は自治会側の事件呼称が相応しいと考えます。親が入所者であってもハンセン病患者ではない児童たちが居住していた龍田寮で差別があったのではなく、通学を拒否した小学校のPTAや校区住民の側に不当な差別、人権侵犯があったとしか考えられないからです。
先月明るみになった、水俣病を感染症とした「宇城市カレンダー誤表記問題」にしても、果たして問題の本質を突いた名称なのか、疑問です。当該啓発文章を起案したのは同市の人権啓発課であり、市内全世帯に配布されるまでの間、同課職員全員はもちろん他課職員の目に触れる機会はあったといいます。水俣病の原因については熊本県内の小学5年生全員が現地で学ぶ常識ですが、それすら身に着いていない軽薄さを露呈してしまった、救いようがない恥ずかしい事件ともいえます。
たとえばの話、「宇城市の人権啓発は形ばかりだった露呈事件」とするなど、市長自らが教訓を絶対に忘れず継承できる適切な名称を定めるよう動くべきではないかと思います。水俣病事件の歴史においても、原因企業のチッソを守り患者を弾圧していたチッソ労働者の一部が、患者支援へ立ち上がった際に出した「恥宣言」があります。うっかりミス問題に矮小化せず、その人間性全体が問われた事件だという出直しの覚悟が求められていると思います。
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