宇城市の不知火美術館の近くできょうの午後に用向きがあるので、同館のサイトをのぞいたところ「九州派」の美術家として知られた働正さん(はたらき・ただし 1934-1996)の活動を回顧する企画展「働正がのこしたもの 海にねむる龍」を開催中と知り、さっそく用向きの前に鑑賞してきました。
働正さんは、後半生を大牟田市で送られましたが、宇城市不知火町松合の出身ということもあってか、同じく宇城市松橋町出身の松浦豊敏さんが熊本市内で営んでいた喫茶「カリガリ」へ生前よく来店されていました。なので私もカリガリで何度かお姿を見かけしたことはありました。それと、松浦さん、石牟礼道子さん、渡辺京二さんが編集する同人誌『暗河』(くらごう)の表紙や原稿挿入カットで、やはり「九州派」の菊畑茂久馬さんと共に働さんの作品が掲載され、よく目にしていたので、なじみ深さも勝手に覚えていました。『暗河』は、創刊号から終刊号まで私は全巻所蔵していますが、本展では働さんの作品が載った同誌の一部が出品されていました(ですが、出品目録には同誌を「機関紙」と表記してあり、これは明らかにミス)。
働さんのことについてはこれまで絵画作品しか知らなかったのですが、美術教育運動を通じて子どもたちとのかかわりがあったことや舞踏家の田中泯さんとの交流など知らなかった面もたどれて鑑賞したかいがありました(それにしても齢80の田中泯さん以外、上記に名前を挙げた方々はすべて鬼籍に入られたわけで、自分も歳とったと感じます…)。
そして、数は少ないながらも本館で絵画を所蔵しているとのことですから、また何かの機会に展示してもらえればなあと期待しています。
先日、ミロ展を観てきたばかりで、ミロの星座シリーズを堪能してきました。今回展示の働作品にも「星摘みNo.1」「星摘み」(ともに1986年制作)と、星をモチーフにした絵があって、働さんは星に何を託したのだろうかと想像してワクワクしました。
