昨日の地元紙1面の記事下広告の内容と配置には、ちょっと考えされられました。
写真左側には「外国人ヘイトではない!」というコピー入りで、特定の外国人を排斥する出版物の広告が載っています。
この出版社の経営者は、さまざまな陰謀論を信奉するずいぶん奇特な人物のようで、同社ではもっぱら怪しい健康学やスピリチュアル関係の書籍を好んで出版しています。それら出版物の著者もアカデミックな言論界では無名の人が多いようです。
https://note.com/inbouron666/n/ndcdd031a3685
思想信条の自由、出版や表現の自由はありますが、ヘイトスピーチの自由というものがあってはなりません。人権侵害を赦してはならない新聞社がこのような破廉恥な広告を載せることに、疑問を感じました。
一方、写真右側には、岩波書店の『論理的思考とは何か』や『学力喪失』の新書広告が載っています。岩波書店が発行する雑誌「世界」では今年5回に分けてノンフィクションライターの安田浩一氏による「ルポ 埼玉クルド人コミュニティ」が連載され、在日クルド人がいかに不当な差別を受けているかを告発しています。神奈川の川崎で在日コリアンの人たちに対して不当な差別デモを繰り返している連中が、わざわざ埼玉の川口や蕨まで出向いて外国人ヘイトの活動を続けていることなどを記事では明らかにしています。
私たちの社会に、ネット上のヘイトデマやヘイト本に易々と騙されるような、論理的思考ができない、学力がなくて無知な層が一定数いるのもまた事実です。それだけに、岩波新書の広告が、左隣りの出版物の読者層を揶揄しているようで、これはこれで一種の皮肉を込めた広告配置として見なければならないのかなと感じました。