「くまもと新時代共創基本方針及び総合戦略」(素案)に関する意見

せっかくのパブコメ機会だから、物好きな県民の一人として以下の意見を提出しました。ぜひ皆さんも関心あるテーマの基本方針や総合戦略の素案とやらをご覧ください。
別に文章が長ければいいってもんではありませんが、「水俣病問題への対応」についての「基本方針」が279字、同じく「総合戦略」が468字。しかも、ちょっと言い回しを変えて双方の内容は重なっています。要するに400字詰め原稿用紙1枚程度のことしか仕事しませんと宣言しておられるわけです。オタクら大丈夫なんかと思います。

「くまもと新時代共創基本方針及び総合戦略」(素案)に関する意見

「くまもと新時代共創基本方針及び総合戦略」(素案)に関して「水俣病問題への対応」に絞って以下の意見を提出します。
①「水俣病問題への対応」にかかわる「基本方針及び総合戦略」(素案)を読むと、「新時代共創」の看板を掲げながら、非常に中身が薄い印象をまず持ちました。たとえば施策の中で県が主体性をもって取り組む事業として書き込まれているのは、公健法に基づく認定審査業務と、水俣病に対する偏見・差別解消事業ぐらいしか読み取れませんでした。患者やその家族に寄り添った生活支援をするとの表現はあってもどのような機会を具体的に設けて行うかが見えません。国が限定的に実施する健康調査に県が協力するとあっても、その実は国任せであって、その調査方法の問題点に目を向ける姿勢がありません。水俣・芦北の地域振興も大切ですが、被害者救済には直接関係しない県政課題であり、本項目に書き込むのは「やってる感」を出すための文字数稼ぎにほかならないと感じました。
②上記①で指摘するように中身の薄さは、「水俣病問題への対応」にかかわる「重要業績評価指標(KPI)」が何ら示されていない点にも表れています。施策推進の進捗状況が可視化される指標の公表予定が何もないということは、最初から成果評価もせず、改善に向けた見直しの予定もないとしか受け取れません。「公健法に基づく認定審査については、平成25年の最高裁判決を最大限尊重し、申請者の個別事情に配慮しつつ、丁寧に対応しながら、着実に進めます」と、もっともらしい記述で済ませていますが、被害の実情や疫学の知見を正しく反映した判例が出ているのもふまえると、公健法の改正や、特措法での救済からもれた被害者に向き合った施策の推進こそが必要であり、その進捗状況を可視化公表すべきです。何も改善しないことや、被害者を救済しないままでいることを、わざわざ「基本方針及び総合戦略」に掲げるのは、きわめて不誠実・不当だと思います。
③「水俣病問題への対応」として書き込むべきことは、認定と未認定と問わず患者団体との継続的な直接協議の場を設けて、共に諸課題を解決していくことと、不知火海沿岸全域の住民の健康被害調査を実施することにほかならないと考えます。それへ向かってこそ、共に熊本県の新時代を創れるのではないでしょうか。
以上
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/18/213169.html