お気楽な旅で重宝する「旅名人の九州満喫きっぷ」を利用して、現在福岡市美術館で開催中の「キース・ヘリング展」を昨日観てきました。往路の電車車中では、伊勢崎賢治著の『14歳からの非戦入門』(ビジネス社、1700円+税、2024年)を読了しました。ガザのジェノサイドその他紛争地域で日々生命が失われている愚行を一刻も早く止めるための交渉が必要です。それと、戦争が終わってからの統治がいかにたいへんかということを、本書で改めて学ばされました。有事を煽る勢力に乗せられることは危険です。在日米軍が自由に第三国へ出撃できる有事巻き込まれの危険性や自衛隊員の活動にかかわる法制の不備など、国内で論議すべき課題が多いことも指摘していました。
さて、「キース・ヘリング展」についてですが、彼は1980年代を代表するポップアーチストであり、同世代の人たちの記憶に残っている作品が多いのではないかと思います。リアルな肌の色や性別など外見の要素を取り払い、ベイビーや皮膚の下にある人間の姿を描いた作品からは、それこそ愚かな戦争や差別とは無縁の希望の力が感じられ、優しい気持ちになれます。
ニューヨークの地下鉄駅のポスター掲示板に残した初期の素描作品を紹介するコーナーでは、現地の街の音を流していて雰囲気を出していました。平日の昼間ということもあって意外と館内は空いていて、許可された写真撮影も楽しめました。
曲がりなりにも反核機運が高かった80年代初めの日本と、2000年に一度だけ訪ねたニューヨークを懐かしく思いました。