町内会と政治参加

ふだんさまざまな地域団体の担い手と顔を会わせる機会が多いのですが、年々感じることはそうした担い手の層が薄くなり、地区によっては団体そのものが解散した例をたびたび耳にしています。そのなかにあって町内会(私の地元では行政区と称しています)がいわば最後の砦的存在になっています。
玉野和志著『町内会――コミュニティからみる日本近代』(ちくま新書、840円+税、2024年)を最近読み終わったところですが、同書の「第5章 町内会と市民団体――新しい共助のかたち」で展開される戦後政治と住民の政治参加とのかかわりの部分の著者の見立てが、私の実感値と近くしっくりきました。かつての中選挙区制時代の自民党は、各候補者が個人後援会組織をもつ必要があり、この組織を支えていたのが、町内会を支えていた自営業者層だったので、その意味で大衆政党とも言えました。しかし、大店法の規制緩和による自営業者の衰退、食管法撤廃による農家の衰退とともに、小選挙区制導入もあり、自民党は大企業・グローバル企業の経営者層と被雇用者層からの支持を重視する政党に変貌していきました。同時に町内会を支えてきた自営業者層の中心世代の高齢化も弱体化の理由に挙げられます。
著者の町内会に対する意見は、このままでは消滅可能性が高いが、潰すには惜しく、役割を絞り込んで住民による政治参加・協議の場に徹することに持続可能性を見出しているように思えました。活動時間の融通が利く自営業者層がほとんどいない地区もありますし、被雇用者層のリタイア年齢はこれからますます高齢化します。行政の下請け的な仕事を担う余裕はないと思います。
本書では取り上げてはいませんが、介護報酬の引き下げにより全国で4分の1の訪問介護事業者がここ5年間で廃業しているのだそうです。世帯に介護が必要な人がいれば、町内会どころではないという声も聞きます。負担感が軽い共助でなければ機能しない状況にあると思います。