a Trump

経歴詐称疑惑の都知事の出馬のニュースが話題になる一方で、パワハラ・おねだり体質が元県幹部から告発された兵庫県知事の資質が、百条委員会設置の動きもあって、昨日から報道で問われ始めているようです。同県知事は総務省官僚出身の46歳、経歴的に本県知事と似通っていることもあり、興味を引きました。
報道によると、たとえば以下のような疑惑があるそうです。「訪問先の20m手前で公用車から歩かされたことに激怒し、知事が職員を怒鳴りつけた」、「政治学者の五百旗頭真氏が理事長を務める法人の副理事長2人を解任すると、副知事に通告させた。その仕打ちに憤慨した五百旗頭氏は翌日倒れて急逝した」などなど…。これが事実であれば、なんと器の小さい人物かと思いますし、熊本県とも縁が深かった五百旗頭氏を亡くす仕打ちには憤怒の気持ちを抱きました。
これは、まさしく「a Trump」(「Trumps(=世界に複数いるトランプ的人物)」のひとり)の典型的な人物なのではないかと思います。「a Trump」は、ポピュリズム権威主義の統治術を志向し、民主主義にとって極めて敵対的な言動をとる独裁者と評して差し支えないと考えています。独裁者の特徴を、シグマンド・ノイマンの著書『大衆国家と独裁――恒久の革命』から借りると、「あらゆる独裁者には、友もなく同輩もいない。…彼は何者をも信頼しない。ある意味で世を捨てているのである。これこそ『超人間的指導者』となるために彼の払う代償である。彼はあまりにも大きく、あまりにも強く、そのために、またあまりにも孤独である」となります。
彼らは、一口で言うと、「お山の大将」でもあります。彼らには、相手のために耳の痛いことでも忠告してくれる友人である「クリティカル・フレンド」がいません。近づいてくるのは利権を貪るさもしい人ばかりとなります。そして、表面上の学歴がどうであれ、トランプ氏のように歴史や科学に無知な傾向を感じます。
こうした人物の存在は、けっして首長だけにいるのではなく、地方議員のなかにもいくらでも確認することができます。つい最近も気候変動や生物多様性喪失の大きな原因となる温室効果ガス排出削減に背を向ける論者や神話上の天皇の存在を歴史と謳う教科書作成者に賛意を示す不勉強な人物の投稿を見かけて嘆かわしく思いました。幸い選挙区が異なるので、資質を追及することは当該選挙区の市民にお任せします。
写真は記事と直接関係ありません。ソ連時代のモスクワ。クレムリン宮殿。