学際的な改革の視点

憲法学者の木村草太氏著の『「差別」のしくみ』(朝日選書、1800円+税、2023年)は、法律家が陥りやすい、法制度の形式に注目する狭いギョーカイの視点に留まらず、社会心理学や哲学・法哲学の分野の研究成果を見渡した論述が豊富な本でした。おかげで、差別の仕組みの悪性がより複眼的に解明されて、政治や司法判断の足りない部分の理解も進みました。さまざまな法制度を所与のものとしてその枠内で斬った張ったの立ち回りも重要ですが、取りこぼされた正義はないのか、考察して社会を変革していく行動も一方において必要です。そのための材料を提供していくのが、研究者の務めですし、それを学んだり伝えたりする役割はフツーの市民にもできそうです。革命家とまではならないにしても、だれしも学際的視点をもった社会変革運動をもっと気軽に行いたいものです。