家族法の知識の再確認

まだ読み始めですが、呉明植著の『伊藤塾呉明植基礎本シリーズ9 家族法(親族・相続)』(弘文堂、2300円+税、2023年)は、自分の知識を再確認するために役立ちそうです。著者を始めとする伊藤塾講師による講義には、日本行政書士会連合会中央研修所のVODでもたびたび視聴したことがあり、馴染みを覚えていましたし、もともと司法試験受験生向けに書かれた本なので、判例・通説に基づいて重要部分が図解を交えながら丁寧に解説されています。せっかく学習しても体系を正しく理解していなければ実務にも対応できない訳で、あやふやな記憶がクリーンアップされていく感覚はたいへん心地よいものです。それと、法律自体も年々アップデートされています。本書は2022年12月の親族法改正(例:女性の再婚待機期間がなくなる)にも対応しています。今後たとえば同性婚が法的に認められていけば、同性カップルの財産や連帯債務、債権者代位権などについても見直しが迫られます。現在地を理解することが、先にある目標地の適切な設定の議論にもつながります。
本書内の事例記述で登場人物に「山田太郎」の名前がありましたが、婚姻中の「不貞行為」の解説でも使用されておれば、なお学習者の理解が進むのではないかと思ったことでした。