今読みかけの本は、佐藤仁著の『争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる』(NHKブックス、1700円+税、2023年)です。人間関係から国際関係に至るまで、「依存」について考察している著作です。国際関係における「依存」の対極は「支援」ということになりますが、これまでの「支援国」の有り様を顧みると、けっして無償の善意ということばかりではなく、しっかり実益を得てきたことがわかります。人間関係においても「支援者」の方がしばしば実益を得ることもあります。社会福祉の現場において公的支援(公助)に依存せざるを得ない立場の「要支援者」を非難することは、相互依存で成り立つ社会全体を見ていない一面的な思考にほかならないことになります。誰もがもっと依存して良い方向に考えを変えていかなければならないと思います。