野菜栽培の素人を相手に「無肥料でも野菜ができる」を謳い文句に掲げた講習案内が出回っているのを知りました。しかし、野菜を作るには、葉での光合成だけではなく根から水と肥料成分を吸収させる必要があります。
農水省が示す資料にも植物の必須成分いわば肥料成分は17成分あるとあります。
土壌分析すれば、成分比を測定することができますが、分析の義務がないので、行ったことのない生産者は多いかもしれません。分析したら逆に有毒な成分が含まれていることが分かることもあります。
通称肥料法(2020年改正で肥料品質確保法、1950年制定時は肥料取締法)では、化学肥料等の普通肥料や堆肥等の特殊肥料が販売されるにあたり、植物の必須成分(17成分)のうち9成分(N、P、K、Ca、Mg、Mn、Si、B、S)を主成分と定めてその原料表示を義務付けています。
それら原料を明らかにして販売される必須成分が、肥料法で対象になっている肥料だとしているに過ぎません。無施肥でも土壌(水耕含む)に必須成分が含まれていなければ、1950年以前から植物が育つことはあり得ません。
もっとも大半の消費者は肥料法上の定義なんて承知していないと思われます。冒頭の講習案内は、肥料法の対象肥料を与えていないから「無肥料でも野菜ができる」と言い張ってまかり通っている印象が残ります。科学的には胡散臭さを覚えます。
なお、土壌分析は、JAでも行っています。
https://www.zennoh.or.jp/operation/hiryou/dojo.html
写真は熊本県立運動公園近くの「えがお健康スタジアム」で見かけたネコ。これも無飼料で肥育したとは考えられません。