昨日から読み始めた本は、オックスフォード大学の地理学者であるダニー・ドーリング著の『Slowdown 減速する素晴らしき世界』(東洋経済新報社、2800円+税、2022年)です。なんとも挑戦的な書名だと思います。本書の指摘は、「あらゆることがスローダウンしている。そしてスローダウンはとてもよいことである。」ということに尽きます。その事実証明が539ページのボリュームで繰り出されるのですから、読む側の気分としてはゲンナリしそうです。ですが、根拠のないバラ色の話を聴かされるよりも、厳然としてある事実を学者の導きで知ることが大切です。的確な現状認識によらなければ未来を見据えたこれまた的確な政策判断はできないのですから、まずは虚心坦懐の構えで読んでみることにします。