召集令状でも届くのか

旧統一教会と議員たちとの関係をめぐる地元メディアのこびへつらい報道(広報?)ぶりに接するにつけ、郷土の先人ジャーナリストに学べと言いたくなります。それとも自称ジャーナリストばかりなのでしょうか。

以下は、2017年7月1日、熊本日日新聞「読者ひろば」掲載に掲載された、私の投稿です。
写真(1989年5月撮影)は、ロシア・モスクワのレーニン廟の衛兵。記事とは関係ありません。

「竹槍事件とミサイル広報」
もしも核弾道ミサイルが近くに落下したら、政府が広報する行動をとっても何ほどの意味があるのか、という思いで広告を見ています。あるいは屋内退避に主眼を置いているのは、派生しかねない原発事故を想定しての広報かと勘ぐってしまいます。
この奇怪な政府広報で熊本人として想起したいのが、人吉出身の硬骨の新聞ジャーナリスト、吉岡文六と「竹槍事件」です。昭和19年2月23日、大阪の毎日新聞編集局長であった吉岡は、大和魂を磨けば竹槍でも国防ができると非常時宣言を出した東條英機内閣を真っ向から否定しました。「敵が飛行機で攻めに来るのに竹槍をもっては戦ひ得ない」と、亡国の瀬戸際に立っている事実を、自分の判断で報道させたのです。翼賛政治と憲兵や特高による言論弾圧の時代でしたが、読者の大半は販売店へ賛辞を寄せたようです。東條は、この記事に激怒し、吉岡が守ろうとした37歳の記者は二等兵として懲罰召集されます。吉岡自身も事件直後に編集局長を辞めさせられ、終戦前に新聞社を自ら退きます。
政府も国民保護を真剣に考えるなら、竹槍もってのような無益な避難広報ではなく、ミサイルに狙われる場所は国内のどこかという真実を明らかにするとか、相手国に対する実効的な外交工作ではないかと思います。