すっかり汚職の祭典のイメージが残ってしまった東京オリ・パラ。大会組織委員会の元理事の財布へのカネの吸い上げ方は、違法なのはもちろん、人としての品性のなさが如実に表れていて驚かされます。一方、元理事のそうした性分が培われたであろう広告代理店の企業風土を考えると、さもありなんという気持ちにさせられます。
バブル期の頃、地方都市にある私の勤務先でも電通を使うことがありました。今振り返ると、同社の事業の本質を一言で表すと「口利き稼業の最たるもの」なのではないかという気がします。たとえば、CM素材の制作においても実際に動くのは下請けのデザイナーやコピーライター、カメラマンたちです。スポンサーによっては、媒体を黙らせる手駒の一つとして同社を使うことがあったかもしれません。本体の社員は、契約書を運ぶだけだったり、接待をアテンドしつつ自分たちも遊びに興じたりするのが、仕事だったように思います。
そういえば、アーケード街の吊り看板広告の契約書の内容などは、書面をよく確認しないとひどいものでした。吊り看板が落下して通行人が被災したときの賠償責任は、設置管理している商店街ではなく、広告主とするとあって突っ返したことがあります。また、同社の退職者の自己紹介フレーズとして「元電通の・・・」というのをよく聞いた経験があります。個としてのクリエイティブ能力がない方が多かったなという印象があります。
写真は、パリのアラブ世界研究所(1991年12月撮影)。窓がカメラの絞り機能で採光できる仕組みになっていることで有名です。実は、この建物の存在を知ったのは、地元の電通支社内で視聴した世界のトレンド情報のリポートビデオを通じてでした。月1回早朝にこの社内向けのトレンド情報ビデオを視聴する会が行われ、数回参加したことがありました。今となっては儚い時代の思い出です。