イーロン・マスクをどう見るか

朝日新聞経済面の「けいざい+」欄で7月21日から23日にかけて3回にわたり「イーロン・マスク 何者か」と題して同氏の人となりを取り上げていました。現在、米電気自動車大手テスラや宇宙ベンチャー企業スペースXの経営者として知られるマスク氏は、世界一の富豪でもあり、ウクライナ侵略に際してはウクライナへドローンを提供するなど、政治的な影響力すらもっています。その動向は常に世界から注目される存在です。南アフリカ生まれの彼は、8歳の時に両親が離婚、父親のもとで暮らしますが、その父親はたいへん暴力的だったといいます。自身をアスペルガー症候群と認めていて、子どものときの支えは読書とコンピュータープログラム開発だったといいます。17歳でカナダへ移住。その後、スタンフォード大学の博士課程へ進みますが、そこは入学2日後に退学し、起業家の道を歩みます。大学時代に大切なテーマだと気づいた、インターネット、持続可能なエネルギー、宇宙にかかわるビジネスへの挑戦を続けています。こうした人物の登場を後押しする教育と経済の環境があったからこそだともいえます。半面、他人にも週40時間現場にいるよう求めるなど、一緒に働きたい人物かというと、まったくそうではありません。ツィッターのような言論空間が一人の人物の差配によって変質する危険性を考えても、同氏による買収はむしろ不成立になって良かったように思います。