このところ続けて2冊、米国の学者の著書を読んでみて、二つのことを感じました。一つは、報道で接する断片的な見解にとらわれるのではなく、歴史的事実や当事者現場の情報などを踏まえた丁寧な検証による著書に接して、自分の立ち位置・意見を醸成する大切さです。もう一つは、日本で流通している言葉とそれが持つイメージをうのみにしないことで、世界共通認識を確認してから自分の立ち位置・意見を組み立てることの大切さです。たとえば、日本でのリベラルという用語は、世界共通認識からかけ離れている感じがします。資本主義や社会主義、共産主義という用語も実態に即して正しく使わないと、見方を誤ってしまうかもしれません。今度読む本は、ブランコ・ミラノヴィッチ著『資本主義だけ残った 世界を制するシステムの未来』(みすず書房、3600円+税、2021年)です。