写真は次に手にする本ですが、先日読了した『現代中国経済〔新版〕』には新たに知る情報が多くて日本があるいは世界が中国とどう向き合うべきかを考えるうえでたいへん役立ちました。とにかく巨大な隣国・中国についてまだまだ知らないことが多いのだなと思いました。まず外から捉え切れない理由として各種統計の少なさがあります。公表される統計自体が少ないですし、その統計の取り方に問題があることがあります。特にかつては経済指標の内容が地方党幹部の出世に影響するため、かなり水増しされることがありました。そのため、統計分析においても数字をそのまま受け取るのではなく、かなり補正してより実態に近い推計を出すことが求められます。
他にも数字の伸びを競うために市場の求めとは関係なく生産されたこともありましたし、材料の供給網が非効率であったこともあります。党員が3人以上いれば企業内に党支部が置かれ、経営者とは別の人間が権力をもつ、いわば二重権力の問題もありました。沿岸部と内陸部の発展格差の問題もあります。反面、日本における眼鏡産業の福井県鯖江市、金属洋食器産業の新潟県燕市のように、中国には単一の産業が集積した都市(バルブの温州市)が多数あるのも特徴です。これは儲かる産業が見つかると、そのノウハウを周囲の人と共有し、教え合う文化が盛んであることのようです。知的資産に対する考え方が世界とは違うようです。
このように外から見ても分からないことが多い具合ですから、中国国内でも経済政策の運営は相当難しいのではと思います。とはいえ、巨大な市場がそこにあって自国だけではどこの国も生活していくのは苦しいわけですから、経済的な付き合いは止めらないのが現状です。軍事力だけを誇示してもそれらは生産的ではなく武力が豊富であるほど無用な食い扶持がさらに必要になるわけで、ましてや国民の負担が増えれば、対外問題より内政の不満解消に努めなければたいへんなことになります。民間の経済交流で国際関係を良くする道の方が断然得だと思います。
