まさに腹が減っては

これから読む本は、丸川知雄著『現代中国経済〔新版〕』(有斐閣、2400円+税、2021年)。このところ台湾海峡の安定について注目が集まっていますが、大陸側がすぐにも力づくで獲りにくるかのような煽り方はどうかと思います。『キッシンジャー回想録 中国』の中では、毛沢東が三国志を好んで読んでいたことが紹介されていましたが、中国の外交手法を顧みると、「夷狄をもって、夷狄を抑え(以夷制夷)」や「夷狄に夷狄を攻撃させる(以夷攻夷)」を彷彿とさせる点があり、毛沢東に限らず漢民族が有する歴史的教訓として常に脳裏に刻み込まれているのではないかと思います。それと、三国志で描かれた戦いでは、兵糧の確保が重要だったことが理解できます。数十万の軍隊も食い扶持がなければ、まるで戦力にはなりません。それどころか、食えなければ餓死するか、反乱が起きてヘタすれば敵に寝返ってしまわれるリスクもあります。特に高齢化が著しい現代中国では大勢の老兵たちの老後の生活維持が社会的課題になってくると思います。台湾の取り込みどころではなくなってくるではないでしょうか。