徳川思想小史

昨年100歳で亡くなられた近世日本思想史が専門の源了圓著『徳川思想小史』(中公文庫、1000円+税、2021年)を読んでいるところです。もともとは2007年に中公新書から刊行された著書ですが、文庫版ではエッセー「自分と出会う」と小島康敬筆解説、人名索引が追加されていて、著者の人となりや学術書としての利便性が増しています。一読して感じるのは、著者の博識です。執筆対象は主に江戸時代の日本の思想家ですが、東洋はもとより西洋の思想の流れにも明るいことがうかがえます。それと、当時の思想家を描く文体にも漢学の素養が随所に光り、心地よい感じがします。私は、かつて著者が執筆した高校の教科書で学んだ経験がありますが、それから40年以上経って今もこうして学べることをうれしく思っています。