NHK朝ドラの「あんぱん」初回放送の見ようと張り切ってNHKBSの番組表を朝イチで確認したところ、「あんぱん」の前の時間に再放送される朝ドラ「チョッちゃん」の舞台が北海道滝川市であることをついでに見知ってしまいました。「チョッちゃん」は、黒柳徹子さんの母・黒柳朝さんの自伝『チョッちゃんが行くわよ』を原作としているそうですが、初回放送された1987年4-10月当時は会社員時代で一度も作品を視聴したことがありませんでした。しかし、滝川は私にとって小学1年の1学期まで住んでいた土地であり、さっそく第7話を視聴しました。
そして、たくさんの拾い物をしました。まず、ナレーションが昨年鹿児島旅行中に訃報を聞いた西田敏行さん(養父の祖は薩摩藩士)。主人公の高等女学校での担任役として役所広司さん(出身地の長崎県諫早市を近年3回訪ねる機会がありました)。脇役でレオナルド熊さん(出身地が石狩川を挟んで滝川の西隣りの新十津川町)。といった親しみを覚える顔ぶれがかかわっています。しかも、レオナルド熊さんの墓所についてはたまたま昨夜グーグルマップを開いているときに明治大学和泉キャンパスの近くにあるんだというのも知りました(ほかにも著名人としては佐藤栄作や瀬島龍三、樋口一葉、中村汀女の墓が近くにあり)。熊さんについては、時事ネタを不条理コントで嗤わせる高度な芸風が秀逸でしたし、サントリービールのCMで発した「いかにも一般大衆が喜びそうな」という表現は1983年の流行語となりました。大量消費社会の薄っぺらな雰囲気をよく掴んだ印象に残る言葉です。
ところで、本日の「あんぱん」ですが、都会から地方の学校へ転校してきた子どもが受ける疎外感のシーンに自分を重ねてしまいました。前述の通り、私の場合も、言葉も気候もまったく異なる土地への転校体験でしたので、今でも私の心のどこかにここが嫌いだという思いがあります。転校初日に担任の河野幹子先生が学級の児童に教室に貼ってある日本地図を指しながら北海道から(異国の樺太よりも遠い!)九州へ渡ってきたということを説明したのをよく覚えています。まるで外国人が突然学級に加わったようなわけですから受け入れ側の児童にもまったく心の準備がなかっただろうと今では考えます。
多文化共生社会とか、いかにも一般大衆が喜びそうな言葉が、行政の啓発文書に載っていても、住民のふだんの振る舞いには、それと反する言動が多々あるという気付きは、マイノリティー体験の有無によるのかもしれません。
【追記】私の母から聞いたところでは、驚くことに、北海道滝川市一の坂町にあった朝さん(1910-2006年)の実家跡の医院で私が何度か診てもらったことがあるとのことでした。ただし、当時はそのことを私の母も知らず、後年テレビで写真が紹介されたなかで、行ったことがあると気づいたそうです。確かに、朝さんの父・門山周通氏は1908年に開業し1944年に亡くなられた方ですし、1965年ごろの住宅地図で確認する限りでも、門山の名の入った医院は見当たりませんでしたので、別姓の方が医院を継いだのだろうと思われます。
