日別アーカイブ: 2024年6月19日

難民とともに

明日6月20日は「世界難民の日」だそうです。今月13日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が出した報告書によると、2023年末時点での難民の人数は世界で1億1730万人(前年比880万人増)となっています。2024年4月末時点ではさらに増えて、UNHCRの推計では世界で1億2000万人に達し過去最多といわれます。戦争紛争が原因の最たるものですが、権威主義体制下の人権弾圧やこれからは気候変動による難民の増加も見越す必要があります。
日本国民が身近に考えて支援できることといえば、やはり難民を社会的に包摂するということにほかならないと思います。『世界』(2024年7月号)掲載の橋本直子氏による「『難民を受け入れる』ということ――線と面で考える」は、課題の理解に寄与するコンパクトな論考でお勧めです。
「世界難民の日」に岩波新書から刊行される同氏の著書『なぜ難民を受け入れるのか 人道と国益の交差点』も読んでみたいと思います。
それにしてもレイシストのデマを鵜呑みにするようなバカに議員報酬を与えて養っている現実が周囲にあったりしてやり切れません。

権威主義体制下の人権弾圧から逃れる難民もいますが、近年は中国から日本へ経営や就労の在留資格を得て移住する「潤」と呼ばれる人たちの存在も注目されています。難民申請に至らない富裕層や知識人らからなりますが、中国の体制に疑問を持って逃げてきた点では、変わりないとも言えます。
じっさい「潤」の中国語の発音のローマ字表記は、「run」なのだそうですが、これが「(生活が)潤う」とともに「(国外に)逃げる」という意味と重なるといいます。
これらの生活自立した中国の中間層の移住は、日本の国益にとっても損にはならないのではないでしょうか。
写真は上海の高層ビル建設現場。1997年撮影。